うさドンのかぎ(第1話)
「わたし、こころのかぎをなくしちゃったみたいなの」
「じゃあ、ぼくが見つけてきてあげるよ」
くまドンは、うさドンのかぎを探しに出かけていきました。
森にしかドンがいたので聞いてみました。
「うさドンのかぎを知りませんか?」
しかドンはつのをふりふり言いました。
「しらないね」
はらっぱにかわうそドンがいたので聞いてみました。
かわうそドンはしっぽをふりふり言いました。
「しらないな」
滝にうおドンがいたのできいてみました。
うおドンはヒレをふりふり言いました。
「しらんじゃん」
山や谷をめぐって探しましたが、かぎはどこにも見つかりません。
あたりも暗くなってくまドンはうさドンのところにかえってきました。
「ごめん。うさドンのかぎ、どこにも見つからなかったよ」
「そう・・・」
しくしくと泣くうさドンの背中にくまドンはそっと手をあてました。
するとなんだかちいさなものが手のひらにあたります。
「うさドン、なんか背中についてるよ・・・」
手にとってみると、それはちいさな金色のかぎでした。
「うさどん!あれ・・・うさどん?」
ふと気が付くと、うさどんはどこにもいなくなっていて
いつのまにかくまドンは小さな赤いおうちのとびらの前に立っていました。
「うさどん・・・うさどんはどこにいっちゃったんだろう」
くまドンがちいさな金のカギを取り出してとびらにさすと
とびらはかちゃりと音をたててすうっと開きました。
(第1話おわり)