「性差(ジェンダー)の日本史」展

国立歴史民俗博物館で開催されている企画展に昨日行って参りました。

個人的に前々からジェンダーに興味を持っており、「ついに博物館でも展示が...!!」とワクワク致しました。

企画展示室もA・B両方を使用したもの。昨年の『もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―』では企画展展示室Bのみの使用だったので、規模的にも本当に大きい展示です。

実物は是非ご自分の目で見ていただきたいなと思います。図録も手元にあるのですが、こちらも是非お手に取ってみてください。ネタバレになる可能性がありますが、良ければお付き合いください。土日など予約が必要な日があるのでお気を付けて。

まず全体の流れから。古代から中世、近世を経るにつれて、展示室を移動するに連れて、明らかに女性が表からいなくなっていきます。中世までは財産を持ち地頭にもなっていた女性が、次第に、次第に存在を薄めていきます。例えば髪結という職業では、男性は取り締まられなかったものの、女性は客や親まで取り締まられていました。

私が今回、一番楽しみにしていたのが「性の売買と社会」。
感動しました。歌人や宿泊業を兼ねていた遊女という存在が、近世の遊郭施設の誕生により場を固定されます。遊女は、芸娼妓解放令により「自由意志」による職業になりました(実態は変わりません)。
同情がなくなっていく過程…は同時に人の尊厳もなくなっていく過程であったように感じました。
吉原の放火事件を紹介する箇所には訳のつけられた日記が展示がなされています。...余談ですが、ページをめくるのがセンサー型になっておりました。コロナの影響を痛感します。

私が今回一番苦しかったのが、滋賀県八日市市(現在は東近江市)新地にあった清定楼の再現展示です。男根神が神棚に飾られていたとあるのですが、この男根神が使用されるのは娼妓になる儀式の後です。この娼妓になる儀式、娼妓になる女性を人として扱っていないのが明らか..街並みが残っているそうなので、いつか現地に赴きたいと思いました。

最後に近現代の職業婦人をあげて幕を閉じます。この最後の展示、ユネスコ世界の記憶に登録されている「山本作兵衛コレクション」が数点展示されておりました。

少し長くなってしまいましたが…個人的にはヒステリーや男性の生きづらさ、「同性の愛」などにも目を向けた展示があったらなあと思いました。ただ、これらを取り込むと統一感がないので致し方ないかもしれません。近々、民俗学の視点からジェンダーを呟いてみようかと思います。ではまた。



傘を買いたい。