「『Gloomhaven』のサポートアプリ」に関するTwitter上の公開いざこざ、について考えてみる
なにやってんだい?アークライトゲームズ
2020年7月9日。Twitterのタイムライン上に、
アークライトゲームズの「怒り」がやってきました。
このツイートだけだとなんのことだかさっぱり分かりません。
スレッドをたどって、事の事情がわかりました。
「ボドゲサポートアプリを作る(Boardwalk)」さんは、ボードゲーム『グルームヘイブン(Gloomhaven)』をサポートするアプリを作成して、公開していたようです。
ところが、6月23日以前に、日本語版の販売元であるアークライトゲームズから、
「著作権の関係で取り下げてね」ということで、一旦撤退したようです。
そのあと、7月3日になります。
『Gloomhaven』の著作権を持つ、Cephalofair Gamesに許諾をとりました。
で、ゆくゆくは許諾しなかったアークライトゲームズに連絡する予定だったようですが、
まさかの公開激怒
に及んでしまったようです。
「なにやってんだい?」と思ってたのですが、ようやっと、ツイッターの意図がつかめました。
なにやってんだい…アークライトゲームズ
このツイートの意見には賛同するのですが、であれば
大衆の面前に出るんだから、
もう少しわかりやすく伝えてほしい
と思います。どうも感情先行なツイートの文面なので、「なんか交渉が下手」と映ってしまい、法人としても損なイメージが付いちゃいます。
そういう意味で
なにやってんだい…アークライトゲームズ
と少しため息が出ました。
実際のTwitter上でのやり取りの一部は「非表示」となり、伏せられました。
権利者は〇〇です
結局のところ、「ボドゲサポートアプリを作る」さんの考え方は、
権利者に許諾とったからOK
という認識なので、アークライトゲームズに対して「文句あるか」な対応に出てしまった、かも知れません。
しかしですね、
日本語版『Gloomhaven』の翻訳権はアークライトゲームズ
にあるのではないかと。
著作物を翻訳したものは「二次著作物」として扱われます。
そうすると、日本語版『Gloomhaven』の実質上の著作権は、
Cephalofair Gamesとアークライトゲームズの2社
になります。つまりですね、
権利者(アークライトゲームズ)に対して
邪険な態度をとる
大損な行動をとっていたのです。
タイムリーな記事
時間を少しさかのぼります。
アークライトゲームズは、アプリを一旦取り下げた2日後に、
6/25にご連絡した通り、手順を守りまずは企画書を送付いただき、許諾を受けてからアプリを公開してください。
と、結構慎重で親切な対応をしていたと思います。つまり、
手順をぶっ飛ばした結果、無断で再公開と思われる行動
なわけですから、そりゃ怒るよね。
しかし、なぜアークライトゲームズは慎重な対応をとったのか。
たまたま関連してしまう記事をTable Games in the Worldさんが、いざこざ前日の7月8日に書いています。それが、
『日本語版ボードゲームで誤訳が減らない理由』です。
ゲームルールやコンポーネントに、誤訳ないしエラッタ(正誤修正)が出た場合、修正や交換など対応をしなければなりません。
そうなると、
サポートアプリも対応しなくてはならない。
つまり、日本語対応したサポートアプリは、誰が対応するのでしょうか?
もちろんアプリ制作者ですが、おそらく少なからず、
アークライトゲームズにとばっちりがいきます。
たまったもんじゃないですよ。
当然、自己防衛しますよ。
俄然、慎重になりますよ。
知的財産権に弱い、ですむ話でない
まあ色々あったわけですが、サポートアプリは、
当日のうちに取り下げたようです。
しかしですね、
『Gloomhaven』をより楽しく遊べるように、一生懸命サポートアプリを制作している「ボドゲサポートアプリを作る」さんを、
一方的に「悪」だ、
と決めつけるわけにはいかないと思います。むしろ問題だなと思うのは……
知的財産権の知識に乏しかった
ということかも知れません。
以前、自分のnoteで
を書きました。
書き上げた後も『ボードゲームの著作権(知的財産権)』のことを継続してあれこれと考えていますので、「ゲームと著作権」をめぐる記事をまた書くと思います。
では。
追記:
記事をアップしたあと、今回のいざこざの件をTable Games in the Worldさんが記事としてまとめていました。