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アインシュタインタイルTile(1,1)の配置パターンを愛でる。とにかく愛でてみる。

前回の記事はこちら。

前回やり残した、Tile(1,1)の配置パターンにまいります。


H7・H8も確認

おさらい的ではありますが、Tile(1,1)の場合のH7とH8を見ていきます。
H7、H8は論文「An aperiodic monotile」の18ページにある、「HAT」などのアインシュタインタイルを複数個(H7は7個、H8は8個)組み合わせたユニットになります。

引用:An aperiodic monotile p.18
Figure 2.11
https://doi.org/10.48550/arXiv.2303.10798

下の図が、Tile(1,1)のH7(左)とH8(右)になります。

H7を120度、240度回転させて重ねると、以下になります。


H8を120度、240度回転させて重ねると、以下になります。

ほぼ、前回と同じような見た目なので、駆け足ですすみました。
では、H7とH8を180度回転させて重ねます。


ということで、120度・240度回転重ねでは、下左図の2つの点対称図形に分かれるヘリコプターとなり、180度回転重ねでは、下右図のまた異なる2つの点対称図形に分かれるヘリコプターとなります。

ちなみに、右の図はもう1つ回転尾翼(青)を追加すると、バットマンマークっぽくなります。


この図形は、周期的に敷き詰めることができます。



「SPECTRES」の配置パターン

「SPECTRES」の配置パターンは、論文「A chiral aperiodic monotile」の6ページ(Figure2.1)、および7ページ(Figure2.2)にあります。


引用:An chiral aperiodic monotile p.6
Figure 2.1
https://arxiv.org/abs/2305.17743


引用:An chiral aperiodic monotile p.6
Figure 2.1
https://arxiv.org/abs/2305.17743


この配置パターンの扱い方について、日本テセレーションデザイン協会代表の荒木義明さんのツイートがあります。


【引用】
新論文のFig2.2の置換システムはちょっと不思議。 初期値は一匹の亀。次のステップで全部を裏にしてから並べています。このうち緑の亀だけ30度分ズレている。 この30度のズレは前回の非周期タイリングには現れない置き方で、これが今回の鍵なんだろうか?青は論文の薄緑に対応

引用:https://twitter.com/alytile/status/1663450159345463297

【引用】
ちなみに緑と青の亀の塊を「Mystic」(神秘?)と呼ぶそうです。さて置換システムの2回目では9匹の亀の塊を8つ作り全部裏にして並べます。このときピンク色の部分が1箇所重なります(ナゼ!)

引用:https://twitter.com/alytile/status/1663451552949075969

【引用】
あとはこの繰り返しで、先の塊を8つ複製して全部裏にして並べます。このとき黄色の塊が1箇所重なります(そして外形はフラクタルになっていく)

引用:https://twitter.com/alytile/status/1663452005606780933

どうやら、いちいちタイル全部裏返してから、配置パターンを用いてどんどん拡大していくようです。
なんで裏返すのでしょうかね?


双方の配置パターンを見比べる

「SPECTRES」の配置パターンですが、これらは先の論文の配置パターンH7とH8とどれくらい似ているのか、確認してみます。

左のパターンはタイル8個の組み合わせなので、H8と同じタイル枚数。
右のパターンはタイル7個の組み合わせなので、H7と同じタイル枚数、となります。

右側の配置パターンをちょっと動かしてみます。

左図が配置パターンです。
水色と黄色のタイル1組は「MYSTIC」とよばれます。
黄色のタイルを一旦外しまして(中図)、水色のタイルを残りのタイルに当てはまるように裏返します(右図)。

H7の配置パターンには裏返したタイルが1枚あるので、このタイルを目印として比較します。
H7を裏返しのタイルに合わせて角度を調整し、2つの配置パターンを並べると、このようになります。



左:「SPECTRES」配置パターンをいじったもの
右:H7

7枚中5枚が一致しました。
異なる箇所を抜き出したのが、以下の図です。


左:「SPECTRES」 右:H7


もう1つの「SPECTRES」配置パターンとH8と比べてみると、8枚中6枚が一致し、異なる箇所もまた先の見比べたものと一致します。

一番上にあるタイルを0度とした、それぞれのタイルの向きは以下の図のようになります。


左:「SPECTRES」の配置パターン
右:H8(左上のタイルを除くとH7になる)



なぜ裏返す?

しかし、「SPECTRE」配置パターンは、いちいち裏返すのか、不思議ですね。
以前の記事「アインシュタインタイル「SPECTRES」を愛でる。とにかく愛でてみる。」で、こんな図を書きました。

「HAT」と「TURTLE」は(回転主翼(黄色)が鏡像の)対の関係になっている図です。
前回の記事「アインシュタインタイル配置パターン「H7」「H8」を愛でる。とにかく愛でてみる。」でも、「HAT」と「TURTLE」が対関係であることを垣間見ました。

「HAT」の非周期的敷き詰めで出てくる裏返しのタイルは、実は対となるタイル「TURTLE」と関係していると思います。

Tile(1,1)は、対となる関係の図形はありませんが、以前の記事「アインシュタインタイルTile(1,1)を分割して愛でる。とにかく愛でてみる。」で、分割次第では、対になる分割ができました。

引用元:https://twitter.com/alytile/status/1667998785396695040


配置パターンで裏返すのは、「HAT」と「TURTLE」との対関係にある図形に似たもつれをほどくため、かも知れません。

締め

ということで、ざっくり配置パターンを愛でてみました。
論文にドップリ浸からず、浅くサラリと眺めています。
一貫して、本当にたいしたことを書いていません。

とりあえず、ここで一区切りにして落ち着くことにします。

他の記事も書かねば、と若干焦っております。

では。

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