木原音瀬作品のあらすじと感想を紹介しようと思う【その1】

偶然、書店で出会った木原作品。読んだ作品の紹介と簡単な感想みたいなものを書いていく。あらすじ以外のネタバレは書いてないと思うけど、気になる人はあらすじ(グレーのとこ)だけ読んで気になったの買ってほしい。

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目次
◯ 嫌な奴
◯ 美しいこと
◯ 箱の中
◯ 秘密
◯ 月に笑う 上・下
◯ 灰の月 上・下
◯ ROSE GARDEN 上・下
◯恋について
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嫌な奴

ーあらすじ
学生時代に杉本の「親友」だった、粗暴で自己中的な男、三浦。病に臥せる三浦を、杉本は十二年ぶりに病院に見舞う。そこから再び始まった二人の奇妙な関係は、不本意な同居生活まで発展する。これはいったい、友情か、愛情か、執着か…。傑作BL『箱の中』の作者が、執拗かつ理不尽な同性同士の愛を描く。

初めて読んだ木原音瀬作品。嫌だと言葉にだせず強くも当たれない杉本に感情移入しながら読んだ。ひたすらにうまくいかないんだけど、たまに訪れる穏やかで奇妙な時間を求めてしまう。あと四万十川の描写がよかった。涼やかな川辺が心地よかった。

美しいこと

ーあらすじ
別れた女の服を着て、夜の街を歩き男の視線を浴びる快感にはまった松岡。ある夜、行きずりの男に乱暴された松岡を救ったのは、会社の冴えない先輩・寛末だった。寛末の純粋な愛に惹かれた松岡は「女装」のまま逢瀬を重ね、告白を受ける。叶わぬ愛の苦しさと美しさを描き、舞台化もされた、木原音瀬の最高傑作。

幸せで、でもそのままではいられなくて、お互い惹かれるのにうまくいかないの、なんで…と思いながら読んだ。どっちも悪いけどやっぱり松岡の気持ちが痛くて、ほんとに少しずつ近寄ったり急に突き放されたり、切ない。最後のシーンが苦しくて愛しくてとても好きです。

箱の中

ーあらすじ
痴漢の冤罪で実刑判決を受けた堂野。収監されたくせ者ばかりの雑居房で人間不信極まった堂野は、同部屋の喜多川の無垢な優しさに救われる。それは母親に請われるまま殺人犯として服役する喜多川の、生まれて初めての「愛情」だった。『箱の中』に加え、二人の出所後を描いた『檻の外』表題作を収録した決定版。

堂野を取り巻く環境があまりにも理不尽。本当に気持ちが薄暗くなるレベル。喜多川のことは、たぶん読み手によって印象とか理解が変わるから読んで知ってほしい。読み応えというか読み終わった後気持ちがいっぱいになる。入り込んで一気に読み終わった。

秘密

ーあらすじ
真夏の夜、寝床を捜して深夜の街を彷徨っていた啓太は、杉浦充という男と出会いセックスを条件に部屋に泊めてもらう。男と寝たい訳ではなかったが、啓太は自分のアパートに帰りたくなかった。大きな冷凍庫が唸る部屋で、独り夢を見たくなかったからだ。悪夢を抱えていた啓太にとって、泊めてくれる杉浦は都合のいい相手だった。しかし、杉浦の一途な想いに心が揺れるようになり…。

戸惑ったし、ページを戻って読み返しながら進めた。足元が脆くて崩れそうな感覚で、だからこそこの2人はお互いが必要なんだろうなと思った。BL的な描写も多いけど、家族の繋がりとか心の脆さとか深く描かれていて読み入った。

月に笑う 上・下

ーあらすじ
上)路彦は、深夜の教室である事件を目撃してしまう。それ以来、事件のことを探りにチンピラの信二が学校周辺をうろつき始めた。ひ弱な優等生と小さな組のヤクザ__年齢も環境も大きく違う二人なのに、知り合ってみるとなぜか奇妙な友情関係が芽生え、路彦の未成熟な心と体に、信二の存在は唯一の安らぎとなっていくのだが…。
下)組を移った信二と、大学に進学した路彦。それぞれの新たな生活が東京で始まったが、二人の関係は穏やかに続いていた。組に擬似家族を求める信二は、組長の息子・惣一につくことになって以来、洗練された惣一に傾倒していく。しかし、組の仕事に路彦が偶然にも関わりつつあると知り…!?

「月に笑う」と次に書く「灰の月」は世界線が同じ。道彦と信二が出会って色々あって最後に事件が起きる。灰の月はその事件のあとの、月に笑うにも出てくる惣一と嘉藤の話。
ほかの作品に比べて、メインの2人が若い。仲良くしてるときの2人は可愛くて微笑ましい。でもヤクザなのでそれなりの場面も多くて理解してないと辛いところがあると思う。何回も絶望の淵に立っててハラハラするけど救いもあって、一気に読み終わった。面白かった。

灰の月 上・下

ーあらすじ
上)本橋組組長の息子・惣一は5年前に敵に襲われたトラウマで、一時も1人きりでいることができなくなってしまった。同時に押し込めていた自分の性癖も暴かれてしまう。性欲処理を寡黙なボディガードの嘉藤が見ている前で行ってきたが、ある日道具の代わりに嘉藤自身をねだると彼は命令に従い惣一を抱いた。感じたことのない強烈な快感にもう一度とねだるが、嘉藤に「抱くのであれば女の方がいい」と拒絶されてしまい…。『月に笑う』の山田と路彦のその後のエピソードも収録。
下)嘉藤が惣一の傍を離れて2年___組長が倒れ、久しぶりに会った宗一は昔のように冷徹でカリスマ性のある人物になっていた。嘉藤がこの世界でたった一人と決めたボス。だが惣一はその座を降りようとする。引き留めるために惣一の願いを聞き、今夜だけと抱いた嘉藤だったが惣一の涙に気持ちは変化していく。しかし組の抗争が激化し、惣一が行方不明になってしまう!激動な2人の歪なあいの結末は静謐で穏やかな日々に___。

人がぽんぽこ死んでいくのでエネルギーがいる。しんどさはかなりあるけど、終わり方が穏やかでかなり好きな作品。嘉藤があまりにもひどくてキレながら読んでた。それだけ感情移入できるので楽しい。月に笑うに比べると、立場の違いのせいか考え方が全く違ってて読む側の心持ちも違った。

ROSE GARDEN 1・2

ーあらすじ
1)森で迷子になったスネアを助けてくれたのは、村外れに住む美しい天使・カイルと、信心深い悪魔・ウォーレンだった。天に戻れず嘆くカイルが可哀想で、スネアは二人を訪ねるようになる。そんな時、スネアはウォーレンから過去の話を聞くが…。__愛を探して彷徨う、天使と悪魔のせつない恋の物語。
2)ウォーレンはとうとう村びとに銃で撃たれ、瀕死の怪我を負う。ウォーレンにとって、大切なものは愛しい天使だけだった。確実にカイルの羽が育ち、天に戻る日が近づいていることも知らず…。

珍しくファンタジー風味な物語。情景とかやってることは神秘的なんだけど、中身はすごく人間的な天使と悪魔。イラストも相まって雰囲気がとてもいい。「はよくっつけ」と思ってる間に読み終わるみたいな喪失感。いつものことながら木原先生は幸せな時間をあまりくれない。だからこそ思いが届いたときの嬉しさが大きいなと感じた作品。

恋について

ーあらすじ
ブライダルコーディネーターの朝霞武史は、初めてプロデュースしたお客様・笹川様に一年ぶりに再会した。笹川夫妻は、朝霞が結婚式当日にドジを、笑って許してくれたとても優しいお二人だった。
朝霞は嬉しさと感謝の気持ちを込めて、笹川夫妻の結婚記念日に、お祝いの花束を贈るのだが・・・。

珍しく優しい恋愛を描かれているような気がする。子どもみたいに泣いたり拗ねたり。くすぐったくなるような2人の距離感。それでも不穏な空気は木原さんだなあと思いながら読んだ。不器用で一生懸命な2人の恋愛に加えて、朝霞のブライダルコーディネーターとしての仕事も詳しく描かれていて、読み応えしっかり。


ということで、第1弾。感じたことを言葉にするの難しい。少しでも伝われば良いなと思う。ここに書けてない作品もあるし、木原さんの文章が私にはとても読みやすいので、未読のも読んでいこうかな。

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