上場SaaS企業がどれだけアップセルしてるか調査しました
みなさんどうもPOPERの林です。
Comiru(コミル)という学習塾向けのSaaSを提供しています。
2015年にリリースしてから気がつばもう6期目を迎えました。
現在COOの立場で経営に携わっていますが、経営に悩みはつきものです。
・経営に正解なんてない、自ら切り開くんだ!
・答えをもとめるな、答えをつくりにいくんだ!
わかります、そのとおりだと思います。
ただ僕は、自分たちが目指してるその目標がどの位難しいのか、あるいは簡単なのか、きちんと知っておきたい。みなさんもそうじゃありませんか?
前回は「そもそも国内SaaSでどれくらいの売上と成長率があるとすごいんだろう」という僕の疑問がきっかけで、「日本のSaaS上場企業の売上ランキングを作成しました 【2020/3版】」
という記事を執筆しました。
(上場SaaS企業の決算書を順番にひたすら読んでエクセルにまとめるという孤独な作業でしたので多くの方に、いいねしてもらえて心が救われました)
今回の僕の疑問は「SaaSはネガティブチャーンが命っていうけど、どれ位だとすごいの?」です。
ということで国内+国外のSaaS各社のNRR(ネットリテンションレート)を調べてみました。
※ブログのタイトルはわかりやすく「アップセル」としましたが厳密にはNRRの調査です。ごめんなさい。
みなさんの参考になれば幸いです。
それではいきましょう!
そもそもNRR(ネットリテンションレート)とは?
もうSaaS経営してると横文字が多くてまいっちゃいます。
MRRだの、Churn Rateだのもうお腹いっぱいだよ、、、
わかります。でもNRRはSaaS企業にとって非常に重要な指標ので覚えたほうがいいです。
▼簡単に説明してみます。
・現在100社と契約してて100万のMRRだとします。
・そこから解約やプランのダウングレードで減った分をマイナス
・逆にアカウント追加やアップグレードで増えた分をプラス
・その結果100社の中で契約が残っている会社のMRRが110万円になっていればNRRは110%です。
NRRが100%以上ってことは、
既存顧客の「解約」よりも「ネガティブチャーン(アップセル)」が多い状況なので、極端な話新規で契約がとれてなくてもMRRは増えていくということです。
もちろん解約率がゼロのサービスは世の中にはありませんが、限りなくこれをゼロに近づけ、ガンガンアップセルしてNRRを100%以上にすることがGreatなSaaSへの第一歩なのです。
でもですね、「100%以上」って言われてもどこまでを目指せばいいんでしょうか?
もちろん「多いのに越したことは無い」ってことは承知の上で、ある程度自分の中に基準をもちことは非常に重要だと思います。なので調べてみました。
すると少し前ですが、2018/1にSpark Capital Alex Claytonさんというキャピタリストが欧米のSaaS各社にヒアリングしたNRRをまとめた結果があり、結果としては中央値117%とのこと。
ちなみに「100%以上です」のような回答をしているものを除くと下記のようになっています。
時間のあるみなさんは元記事もチェックしてみてください。
2020年3月現在で確認できる各社のNRRを知りたい!
・最近絶好調のZOOMはどうだ?
例えば最近勢いにのっているZOOMは直近の決算書でNRRが130%強であるとアピール。
ZOOM2020年第4四半期決算書より
※NetDollarExpansionとよんでいますがNRRと同義だと考えていいと思います。
・Slackは?
slackも同様に直近の決算書で、同社のNRRが132%であることを発表しています。
Slack 2020年第4四半期決算書より
※今度はNet Dollar Retentionと記載されていますが、これも同義と捉えて問題ないかと。
気になる国内上場SaaSのNRRはどうなんでしょう?
国内上場企業で決算書でNRRが確認できるのはマネーフォワードとChatworkだけでした。
・マネーフォワード
19/11期のネットレベニューリテンションは129%。
・Chatwork
127%
まとめ
1.欧米のSaaS各社のNRR中央値が120%弱
2.Slack、Zoomというグローバル企業のNRRが130%強
3.国内上場SaaSが130%弱
という結果でした。
もちろんだからといって「130%超えてたら完璧」というわけではないはずですので、あくまでこれを目安に、これ以上の数字を目指す必要があると思います。
いかがでしたでしょうか。
今後も気になったことについて調べるSaaSリサーチシリーズ、継続していこうと思います。何かみなさんからリクエストがあればご連絡ください。
それでは今回は以上です。
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