【感想】ミュージカル『レ・ミゼラブル』
『レ・ミゼラブル』帝劇公演、ついに終わってしまいましたね。本当にあっという間だった~!!
まだ全国ツアーは続きますが、一区切りということで感想を書いていきます。
なにぶんミュージカル初心者なもので、ツッコミどころが多々あると思いますが、ご容赦ください。
あらすじ
あらすじや登場人物については、こちらの記事でとってもわかりやすく&おもしろくまとめてくださってます。ぜひ読んでみてください!(他力本願寺)
東宝の公式サイトにも曲名入りのストーリーが載っているので、こちらもぜひ!
私は舞台よりも先に、ヒュー・ジャックマン主演の映画を観ました。
舞台はかなりスピーディーに話が進むため、登場人物の関係性などわかりにくい部分が多いかも。もし「完全にネタバレがない状態で観たい!」ということでなければ、映画を観てから劇場に行くことをおススメいたします~。
登場人物ごとの感想
バランスよく全キャスト観れたらよかったのですが、かたよった結果になってしまいました……今後の公演で観劇できるキャストさんもいるけど、最後まで観られないキャストさんも。今後の反省とします!
■ジャン・バルジャン
2019年キャスト:福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀
私は、吉原さんと佐藤さんのバルジャンを拝見できました。
吉原さんのバルジャンは、力強くてプロローグ時点の粗野な姿がよく似合う!!!
ジャベール役の伊礼さんがこう仰ってますが、ファンテーヌの病室で対決する場面、ジャベールの首に鎖を巻き付ける仕草が本当に手慣れてる!
解放されたジャベールが、ゴホゴホと咳をするんだけど、本気で苦しがってる!?と思うリアルさです 笑
歌唱は本当に素晴らしいの一言……!!力強くて、感情の籠った声で、高音になっても安定しているし、ずっと聴いていたい……と思いました。
シュガーさん(佐藤さん)のバルジャンは、粗野というよりも、暖かくて優しい……!!心優しい大型犬のようだ……と思って観てました。
コゼットの良きパパだったんだろうなあ、という感じなので、エピローグが泣けます。
歌唱披露でも歌っていた『彼を帰して』は、佐藤バルジャンの優しさがとてもよく感じられて、じんわり心に沁みました。
■ジャベール
2019年キャスト:川口竜也、上原理生、伊礼彼方
なんと、ジャベールは伊礼さんしか観られていません!
でも、伊礼さんは毎回安定して素晴らしくて、いつも新鮮に感動した。
プレビュー公演での伊礼ジャベール初日、『スターズ』歌唱後に万雷の拍手と歓声が上がるほど、最初から最高の仕上がりでした。
普段の伊礼さんは朗らかなイメージだけど、ジャベールを演じる姿は己の正義に一途で自他に厳しい男そのもの。
『スターズ』の歌唱も素晴らしかったですが、自殺の場面はさらにすごい。
振り乱した髪と寄せられた眉根、そして目力の強さから、ジャベールの混乱というか狂乱が伝わってきて、これは死を選ばざるを得なかったよ……と納得できます。
なまじ迫力ある美形なだけに、歪んだ顔のインパクト強強強の強!!!って感じ。
一方、カーテンコールでの姿は、バルジャンの肩を叩いたり、コゼットとマリウスの間に割って入って2人と両手をつないだり、伊礼さんらしくサービス精神たっぷりで、それもまた魅力でした。
■ファンテーヌ
2019年キャスト:知念里奈、濱田めぐみ、二宮愛
ファンテーヌは3名とも観れた!!!!!!
知念さんのファンテ、とっても美人~~。娘のために必死になる薄幸の儚い女性、という印象が強かったです。
そして、濱田めぐみさん!
出演が発表されたときから話題になっていましたが、本当に素晴らしいファンテーヌでした。
病室の場面、なんと濱田ファンテは目を開けたまま絶命するのですよ……その壮絶さたるや、言葉で表現するのがなかなか難しい。
死によって苦しい人生から救われたというよりも、娘を守る力を持たず、まさに道半ばにして夢破れた女性の無念さを感じました。
二宮愛さんのファンテからは、暖かみや優しさを感じました。個人的には、一番「母親」という感じがしたかも。
ちなみに、私は映画を観たときにファンテーヌが歯を売る場面がめちゃくちゃ無理過ぎたのですが、舞台ではそのエピソードはありませんので、同じく無理だった方はご安心ください……
■エポニーヌ
2019年キャスト:昆夏美、唯月ふうか、屋比久知奈
エポニーヌ、大好きなんですよ〜〜〜
叶わぬ恋とわかっていながらマリウスに尽くす姿が、とっても健気で泣ける。
3名とも観劇できましたが、全員本当に素晴らしかった~~
『オン・マイ・オウン』は何度聴いても泣けて仕方なかったです。
前にも書きましたが、屋比久さん演じるエポニーヌは『オン・マイ・オウン』の「♪知ってる~」以降、めちゃくちゃ怒りが滲んでいる気がします。
屋比久さん演じるエポニーヌは『On My Own』の「♪知ってる~」以降、めちゃくちゃ怒ってるな~と思う。
自分の生き方を恥じずに胸を張っているからこそ、叶わない恋なんかに振り回されたり、胸をときめかせたりする己にイライラしてるのかな、と解釈をしてますが、実際はどうなのでしょう。
ちなみに昆ちゃんエポの『On My Own』は諦念と慟哭、ふうかちゃんエポは必死の叫びという感じがします。
この印象は最後まで大きく変わらなかったな~。
3人ぞれぞれの悲痛な気持ちが伝わってくるので、マリウスの腕の中で亡くなるシーンの悲しみが増します。
Twitterにも書いたけど、撃たれたエポニーヌが「これでいいの」って言うところ、必ず心の中で「いいわけないじゃん〜〜」と合いの手を入れてしまう……3人とも小柄なので、マリウスの腕を掴む手が小さくて……それもまた泣ける……
三浦くんのマリウスは、エポニーヌの亡骸を抱きしめて顔を寄せ、愛おしそうに髪や頬を撫でるのですが、それを見ると、「生きてるときにそれをやったげてよぉ……」と思ってしまう。あー、切ないエポニーヌ……
■マリウス
2019年キャスト:海宝直人、内藤大希、三浦宏規
ジャベールに続き3人のうち三浦マリウスしか観られておりませんが、こちらも素敵なマリウスでした!
三浦くんのマリウス、最初に観たときは真面目&繊細そうで、コゼットに恋した後も「革命と彼女、どちらにも真摯であらねば…!!」みたいな義務感から苦悩していそうな印象を受けた。
「若者らしい〜!まさに堅物〜!」って思ったけど、回を重ねるごとにコゼットに夢中なんだな~という印象が増していった気がします。
私が最後に観た5/24(金)マチネでは、恋して浮かれポンチ(死語ですか…?)になってる感じがすごく、エポニーヌに「あの子を探して」ってお願いしてる間ずっと顔が緩んでいた。エポニーヌ、不憫だ~~!!!
でも、そんなマリウスのことがエポニーヌは好きなんだもんね……
三浦マリウスがキラキラした目でコゼットのことを話すたび、エポニーヌ目線で、「ああーー悲しいーーー!けど、かわいいーーーー」と思ってしまう。
そう、三浦マリウスは顔がめちゃくちゃにかわいかったんですよ……!
毎回エピローグでは、バルジャンからの手紙を読むコゼットを見ていたのですが、ふとその隣に視線をうつすと「うわっ!なんかめちゃくちゃ美少女がいる??!?」となるんですよ。
まあ、美少女じゃなくて三浦くんなんですけれども……
三浦くん自身の若さもあり、「たくさんの可能性と輝く未来が彼を待っているんだろうな~」と思わせてくれるマリウスなので、革命で散っていったアンジョルラスやエポニーヌとの対比が一層悲しかったです。
コゼットと結婚して家庭を築いて、小さなことで喜んだり喧嘩したり……そんな幸せ、アンジョやエポニーヌ、砦の仲間たちは経験できないんだもんね。
マリウスが年を取って亡くなるときに、若い頃は仲間と一緒に戦ったな、と思い返すのでしょうか。
生きている人たちの時間は止まらないし、過去が記憶になっていくのは当然なんだけど、命を懸けた戦いが思い出になってしまうのは切ないな~~。
実はこの1年、身近な友人を突然亡くす経験が続いたので、なんだかいろいろと考えてしまいました。
■コゼット
2019年キャスト:生田絵梨花、小南満佑子、熊谷彩春
生田コゼットは「ハッピーオーラの漂うお嬢さん」という感じ。遠目からでも、生き生きとした印象と顔のかわいさが際立ってた。
でも、波止場のラブリィ・レイディの場面では、薄汚れた身なりの娼婦を違和感なく演じているので、それもまたすごい。本当に女優さんだなぁと思います。
あと、エピローグでマリウスに縋りついたときの指先が本当に美しくて衝撃を受けた!いや、そんな細部まで美人なんだ……!!と思って……
小南さんのコゼットは、帝劇公演終盤に1度だけしか観られなかったのですが、強さのあるコゼットでした。
「気が強い」という意味ではなく、悲しい出来事も自分の中で消化できて、物事の幸せな面に目を向けられる強さって感じ。聡明そうなコゼットです。
あと、エピローグで手紙を読み終わったあと、まゆコゼットは空に向かって幸せそうに微笑みながら、「パパ、ありがとう」と口を動かすんですよ~~
パパの愛をしっかり受け取ったんだな、と思って、書いてるだけで泣いちゃいそうになるぐらい、心に沁みました……
彩春ちゃんはみるからに育ちの良いお嬢様という感じで、コゼットにぴったり!もちろん歌唱も素晴らしいです。
特に『プリュメ街』は、「恋して、ウキウキ・ワクワクが爆発してるんだな~」ってことがよくわかる、小鳥のさえずりのように楽しげな歌声。こっちまで顔がにやけちゃいます。
2幕の髪型がすごく似合ってるので、普段もああいうクラシカルなアップスタイルにしてみて欲しい~
3人とも、バルジャンに大事に守られつつも、か弱くて世間知らずな存在ではなくて、しっかりした芯のある女性という感じで、すごく好きでした。
私が観たマリウスが若い三浦くんだけだったからなのか、将来はコゼットが引っ張っていくカップルになるんじゃないかな~~という気がした。
■アンジョルラス
2019年キャスト:相葉裕樹、上山竜治、小野田龍之介
みんな大好きアンジョルラス!私も大好き〜〜
相葉アンジョは、キラキラした希望を感じさせるリーダーという印象。
この人についていけば明るい未来が待っているんじゃないか、と思わせてくれる輝きがあります。
その場にいるだけで目を惹く華があって、とにかく格好よかった!!
上山アンジョは、優しくて頼りがいのある兄貴!砦の仲間1人1人のことを気にかけて、彼らのために心を砕いてくれているんだろうな~~。
悩みを相談したら、めちゃくちゃ親身になって聞いてくれると思う。
戦いの最中、休みを取ろうとしないマリウスに「少し休め」と声を掛ける場面があるのですが、それがまためちゃくちゃ優しいトーンなんですよ~~お兄ちゃーーーーん!って感じ!!(???
小野田アンジョは、新キャストと思えない安定感!
千穐楽カーテンコールでも、石飛さんから「フレッシュ感ないんだもん」と言われてましたね。
小野田さんは、リーダーとして必ずいい方向に導いてくれるはず、という安心感があるアンジョでした。
そして、胸板と二の腕がムッキムキ!!!!そのムキムキさも安心感につながってるのかな!?
3人とも本当に歌が力強くて、かっこよかったです。
ちなみに、恋をしたマリウスに「わかるけれど~」って歌う場面、上山アンジョは唯一本当にわかってくれてそうな気がしたけど、特に小野田アンジョは「いや、絶対わかってくれてないっしょ!」という革命バカ(褒めてます)さを感じた。
■テナルディエ
2019年キャスト:駒田一、橋本じゅん、KENTARO、斎藤司
1番人数が多いテナルディエキャストですが、なんと全員観られました。
駒田さんはさすがの安定感で、特にモリクミさんと一緒の回は「職人芸!!!」という言葉が頭に浮かぶ。
駒田テナルディエは、ずるくて悪びれないんだけど愛嬌もあって、だからこそムカつくけど心底嫌いにもなれなくて、身近にいたら一番イヤなタイプだろうな~~と思います。
橋本テナルディエは、男の魅力を感じさせる!!
ちょっとしたアドリブがすごくおもしろいのに、時々、修羅場を生きる男の凄みを感じさせるので、こりゃマダム・テナルディエも惚れて一緒になりますわ……と思った!
KENTAROテナルディエは、プレビュー公演1回だけしか観劇できなかったのですが、滲み出るイケメンさにやられました。
それから新キャストの斎藤さん!!
斎藤テナルディエは、期待以上に歌声が素晴らしかったし、全体を通じたコミカルな動き・アドリブはさすがでした……!!
演技の方も、卑しさのある目つきがとてもうまく、それがキー高めの声と相まって小悪党感がものすごかったです。
■マダム・テナルディエ
2019年キャスト:森公美子、鈴木ほのか、朴璐美
モリクミさんのマダムは、リトルコゼットをいびる姿が怖いのなんのって……!!!あの巨体で「水汲んでこーーーい!!!」って怒鳴られたら、夜中だろうが寒かろうが行くしかないでしょ……!!!
テナルディエに対する態度からは、夫にブチ切れつつも、気の合う相手としてなんだかんだ愛情を持っているんだろうな~~と感じるものがありました。
ほのかマダムは、一番地に足がついてる感じがした!生きていくために、息を吸うように悪事を働きそうなマダム・テナルディエです。
ところで、マリウスとコゼットの結婚式のとき、マダムが「金が先だー!」と言いながらマリウスの腕を叩くのです。私が観た回では、ほのかさんがめちゃくちゃバシッと叩いたのか、三浦マリウスが思わず「痛っ」と言ってしまってました 笑
朴さんのマダムは、さすが日本トップクラスの実力派声優……!!!という感じで、コロコロと変わる声色が恐ろしくも美しかった!
そして、キリッとした瞳が印象的。
常に苛々してて、不良というか、はすっぱな印象のあるマダムでした。
まとめ
同じ役でも演じるキャストによって印象が変わるのって、改めて本当におもしろいですね~
映画を観たときは「名作だけど私向きではないかも……」と思ったものの、素晴らしい生歌の迫力と演技の魅力に引っ張られて、舞台には毎回楽しく通えました。
ところで、ある回で隣の座席になったマダムとお話しさせていただいたのですが、なんとその方はレミゼ日本初演の初日から観ているというレジェンド。
過去公演の思い出や今回のキャストさんの印象も聞かせていただいて、楽しかったなあ~
私もあのマダムみたいに、ずーーっと好きな作品を観続けられたらいいな、と思います。
では、お読みいただき、ありがとうございました。
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