「暴れ鹿と琵琶法師」
『鳥獣戯画』・「丙巻」 第三幕
かいのどうぶつえん園長です。
今回は、鳥獣戯画「丙巻」より、“動物戯画”の第三幕、名付けて「暴れ鹿と琵琶法師」です。
制作にあたって、絵巻物の動物たちの様子をじっくり眺め、暴走する鹿と逃げ惑う琵琶法師のポーズをどうしようかと、あれこれ思案しました。
そして、サル法師が背負う琵琶や、高下駄に使う貝の材料を選んでいるうちに、無性に楽しくなってきました。
大胆な筆づかいで躍動する動物たちの、生命力に圧倒されたのかもしれません。
普段は威張っている琵琶法師が、暴走する鹿に怯え逃げ惑っている様子・・・。
路傍で見物しているイヌとウサギとカエルが、馬鹿にしたように指さしてゲラゲラと笑いこけている様子・・・。
ぶざまな”主役”を、”脇役”が笑い、溜飲を下げるという状況は、現代の、威圧的な政治家や有名人に対する庶民感情と、どこか通い合うようですね。
2003年の開園時より、貝たちとは「割らない」「塗らない」「削らない」と固く約束して制作しています。園長
<貝の配役>
暴れ鹿(シカ):チャイロキヌタ/スガイ/ヤカドツノガイ/ハツユキダカラ/タモトガイ/ヒメキリガイダマシ/ヒメカノコ
琵琶法師(サル):アマオブネガイ/スズメガイ/スガイ/ハナマルユキ/タモトガイ
琵琶:トコブシ/パイプウニ/アカウニ
杖:ムラサキウニ 下駄:アマオブネガイ(ふた)
ウサギ:カイコガイ/サクラガイ/スガイ/マメニセザクラガイ/
タモトガイ/ムシボタル/ヒメカノコ
カエル:アサリ/ツメタガイ/ハツユキダカラ/フトコロガイ/ヒメカノコ他
イ ヌ:マクラガイ/イモガイ/スガイ/フジノハナガイ/フトコロガイ/ヒメカノコ他 大地:マガキ