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「幕引き」

『鳥獣戯画』・「丙巻」 第十幕

かいのどうぶつえん園長です。
今回は、鳥獣戯画「丙巻へいかん」“動物戯画”の第十幕目、名付けて「幕引き」です。
サルとカエルの白熱の”験比べげんくらべ“で、負けてはならじとカエルの高僧が駆けつけた場面です。寄る年波で腰は曲がり、杖をつき、頭を袈裟けさで包んだ姿で声を枯らして応援しています。
背後に控えるのは、心配顔の若き弟子たち。
そして場面は一転。
天敵の”大蛇”の出現で、人間の宗教行事を真似ていたカエルたちは、われに返り本来の姿で逃げ出します。

この場面の末尾には、建長5年5月(1253)と制作年度が記されています。この年に、鎌倉幕府第5代執権・北条時頼によって、臨済宗の大本山「建長寺」が創建されました。
当時の日本は、北条氏の権力基盤が安定。京都の朝廷の全国支配力は弱まり、政治的には鎌倉が日本の首府となっていた時代でした。北条時頼は禅宗に深く帰依していました。

ところでNHKの日曜美術館で、ベレー帽の巨匠・手塚治虫は、『鳥獣戯画』が世界に誇る文化遺産であること。その遊び心や反骨精神は、現代の漫画などに受け継がれていることを、独自の視点から熱く語りました。
そして、番組の終盤に、やおら筆ペンをとりだすと、サラサラと戯画タッチのウサギを描いてみせました。さすがの描写力!には、心底驚かされました。
        NHK「私と鳥獣戯画 手塚治虫」(1982放送/2016年再放送)

声援を送るカエル僧
突然、天敵の大蛇が出現!
手塚治虫も感動!
絵巻の遊び心を受け継ぐ現代の漫画

2003年の開園時より、貝たちとは「割らない」「塗らない」「削らない」と固く約束して制作しています。

             <貝の配役>

カエル(僧侶/弟子):アサリ/ヒメカノコ/ハツユキダカラ/タモトガイ
            ヒメキリガイダマシ/フジノハナガイ
数珠:ヒメカノコ   袈裟(けさ):フジノハナガイ  
:ムラサキウニ  ヘビ:オオヘビガイ/トマヤガイ/スガイ/ホソタマゴガイ大地:ホタテガイ   


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