子牛の双子が生まれた話

こんにちは!酪農コンシェルジュの西園です。

鹿児島は暑すぎて、春を忘れてきてしまったかのような陽気です。

暑いのは嫌いなので、もう少し春を楽しませてほしいです。

さて、先日双子の出産がありました。

牛も基本的に1回の出産で1頭の子牛が生まれるので、双子は珍しいです。ですが、この双子の出産は、通常の出産に比べ、死産になる確率が高くなります。

果たして子牛は無事に生まれたのか!?

それではいってみましょう。

牛の出産について

牛の妊娠期間は280日で人と同じくらいです。先ほども書きましたが、1回の出産で1頭の子牛が生まれてきます。

ほとんどの場合、出産に人が介助することはありません。

テレビなどで、出産の時に子牛の足をけん引している映像を見たことはないでしょうか?

あれは出産に異常があった場合のみで、正常であればただ生まれるのを待つのみです。介助は牛からしたら余計なお世話だったりします。

双子の出産は大変

そして、今回あった双子の出産は正常ではない出産になります。

人が介助しないと、無事に出産することが難しいです。

理由としては、失位(子牛が正常な形で産道に入ってこないこと)の場合が多く、どちらかが逆子になっていることがよくあります。

そして、2頭とも産道に入ってきて、子牛同士で絡みあってしまい、自力では出産できない状態になったりします。

動物のお医者さんである、獣医さんを呼ぶこともあったりと、双子の出産は緊急を要する事態になりかねないのです。


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上の写真が正常に産道に入っている子牛です。

また、親牛の負担も大きくなります。妊娠期間中に子牛に分け与える栄養も2頭分ですし、妊娠を維持するのも大変で、予定より早く生む場合が多いです。

なので、酪農家としては、双子はあまり嬉しくないのが本音です。

出産当日

その日は大事な予定が入っており、酪農ヘルパーさんを取って、仕事は休みの予定でした。

朝の仕事を終わらせて、牧場を出ようとしていた時、牛がそわそわしているではないですか。

牛は、出産前尻尾をあげてそわそわと歩き回っていることが多く、特徴的な行動をします。

この時点では、どれくらいで陣痛がくるとか、どれくらいで生むのかなどははっきりしないです。

「これは生むかもな~」と思いましたが、予定があったため酪農ヘルパーさんに任せることにしました。

酪農ヘルパーさんに出産があるかもしれないと連絡を入れて出かけました。

酪農ヘルパーさんから電話が。。。

酪農ヘルパーさんが作業に入る時間くらいに電話がきました。

「足が3本でてきているから獣医さんに連絡した方が良いかも」

通常の出産なら足が2本と頭が出てくるのですが、足が3本、、、

双子の可能性大です。

急遽予定を切り上げ、獣医さんに連絡をしてから牧場に向かいます。

急いで分娩介助に

状態的に自力での出産は無理なので、分娩介助をします。消毒をして、けん引するロープを持って牛のもとに。

まず、産道に手を入れて子牛の態勢がどうなっているか確認してから、介助の方法を決めます。。

どうやら2頭とも産道に入ってきていて、1頭の子牛の足が折れ曲がっているので、3本足があるようでした。どちらの子牛も逆子ではない様子。

まず、足が折れ曲がったままだと分出できないので、子牛の足を延ばすことから始めました。

産道の中で2頭が絡んでいるので、これまた難しいです。

何とか正常な態勢に戻すことができました。

もちろん2頭同時生ませることは出来ないので、1頭の子牛を1度奥に押し込んで、その間にもう1頭をけん引して分出を試みます。

陣痛に合わせてゆっくりゆっくりけん引します。少し時間がたっていたので子牛の生死が心配なところです。

ようやく分出させることができ、子牛を確認。

生きてた!!良かった~。。。一安心です。

もう1頭の子牛もすぐさま、けん引します。

2頭目は産道が開ききっているので、割と簡単に分出させることができます。2頭目の子牛を確認。

生きてた~。。。

無事2頭とも出産することができました。

ちょうどそのタイミングで獣医さんが到着しました。一応、子牛と親牛の状態を確認をし、大丈夫そうとのこと。

ようやくひと段落つきました。

今回は2頭とも無事でしたが、どちらか死んだり、2頭とも死んだりすることはある話です。

親牛も産後に体調を崩すこともあります。

今回はうまくいって良かった!元気に育つんだよ。

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