西園仁教【酪農コンシェルジュ】

鹿児島で酪農経営をしています。酪農に関する情報を発信しています。 酪農家は何を売っているのか?僕は乳牛達に対するサービス業だと考え、乳牛達に最高の環境を提供することを目的にしています。 帯広畜産大学生産科学ユニット卒、有限会社西園ミルファーム代表取締役社長

西園仁教【酪農コンシェルジュ】

鹿児島で酪農経営をしています。酪農に関する情報を発信しています。 酪農家は何を売っているのか?僕は乳牛達に対するサービス業だと考え、乳牛達に最高の環境を提供することを目的にしています。 帯広畜産大学生産科学ユニット卒、有限会社西園ミルファーム代表取締役社長

最近の記事

6次産業を考えてみた②

6次化の検討を始めて、やっていくことを綴っていきたいと思います。 僕の牧場がある町に、農畜産物加工センターという建物があることを知ってはいました。そもそもは6次化などは考えていなかったので、目には入っていても記憶にはあまり残っていなかったんだと思います。 6次化を考え始めて、具体的に何を作るかなどは考えていなかったのですが、兎に角事業は小さく始めたいとは考えていました。大きな設備投資をして大失敗は避けたい。 そんな時に思い出した、農畜産物加工センター。ここで牛乳を使った

    • 離農で思い出したこと

      酪農家に限らずですが、年々農家戸数は減少しています。 酪農家戸数のピークは1963年の41.8万戸だそうですが、現在は1万5000戸を割っているそうです。 DJニュース » 酪農家戸数は1万4400戸、乳牛頭数は135.2万頭 畜産統計 (dairyjapan.com) 経営が行き詰っての廃業というよりは、高齢を理由に離農する方が多いです。鹿児島県でも離農は進んでおり、今年だけでも2戸の農家さんがやめています。 離農するときなんですが、牛達はどうするのか。農家さんにもよ

      • 農業者年金

        昨今、老後の年金不安から積立NISAやiDeCoなど自分年金についての情報を見ることが多くなりました。 1階部分の国民年金、2階部分の厚生年金、そして、3階部分を自分で積み立てて運用して資産形成しましょうという趣旨です。農家の場合個人事業主が圧倒的に多く、1階部分の国民年金しかない場合がほとんどです。 そんな農家に対して年金資産の運用を考えているのが、農業者年金です。 農業者年金の特徴 ざっくりとした特徴をいうと以下の4点があります。 ・農業に従事している人なら幅広く

        • 牛達の爪切り

          牛達も爪を定期的に切ります。 これを削蹄と言いまして、削蹄師というプロの方にお願いして切ってもらいます。 牛達の健康維持 削蹄は油圧式の枠場に入れて行います。 牛の蹄はとても硬いので、今ではグラインダーで蹄を削るのが主流になってきています。 写真のような感じです。昔は牛の脚を持ち上げて、鎌で切っていたのでとんでもない進化です。 この削蹄ですが、なぜ必要かというと、蹄が伸び過ぎてしまうと蹄の病気になったりするので削蹄が必要になります。 脚が悪くなると途端に体調を崩

          農家の3Kと新規就農

          農家の3Kを聞いたことがあります? くさい・汚い・きついの3つのKで3Kです。 昔はよく揶揄されていたみたいですが、今はどうですかね? 僕自身酪農業をしていますが、3Kをそこまで感じません。 当たり前かもしれませんが、3Kの感じ方は人それぞれの感性でずいぶん違うと思います。 同じ牧場でもくさいと感じる人はいますし、そうでもないという人もいます。 実際汚いと思う仕事もありまし、牛のうんちが顔に飛んでくることもあります。(笑) それが耐えられない人からしたら、地獄ですよ

          酪農アレコレ(哺乳編)

          子牛の飼育は手がかかります。 人間の赤ちゃんも手がかかるように、哺乳をしている子牛も同じように大変な時期です。 子牛の誕生乳牛の妊娠期間は280日です。牛の品種によって若干のずれはありますが、だいたい280日前後です。 健康であれば、子牛は生まれてすぐに頭を上げ、30分くらいで立ち上がります。 人間であれば立つのは1年くらいなのですごいですよね。 草食動物である牛は、肉食動物に狙われる可能性があるからです。 ちなみに、母牛は分出後の後産をすべて食べてしまいます。こ

          酪農コンシェルジュ

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です! 今日もとても良い天気です。僕は夏が好きではないので、このままの季節で止まらないかと毎年思ってしまいます。 酪農コンシェルジュについて僕は酪農家が売っているものは、乳牛に対してのサービスだと考えています。 牧場を1つのホテルだと考え、日々お客さんである牛達に満足してもらえるホテル運営を心がけています。 乳牛はもちろんお金を持っていないので、お代は生乳で頂いているわけです。 牧場をホテルと考えると、僕的にはしっくりくる感じがあったので

          酪農あれこれ(牧草編)

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です。 天気が続いているので、今日も牧草収穫です。 トラックで運びますが、運搬のお供はラジオです。 AMならテレフォン人生相談がオススメです。 分かってくれる人は多いと思います。(笑) 牧場の牧草事情僕の牧場でも、自給飼料として約12haの面積で牧草を作っています。 北海道では酪農家1軒で100haは作っているので微々たるものですが、都府県の酪農家では普通の規模くらいだと思います。 写真の左はサツマイモ、右はお茶畑に挟まれた牧草地です

          酪農あれこれ①

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です! 明日牧草収穫なのですが、天気はくもり。 雨が降らないことを祈ります。 乳房炎について酪農をしていると、牛達は様々な疾病に罹ることがあります。 その1つが乳房炎です。 乳房炎は乳腺に細菌やカビなどが感染して起こる病気です。 症状としては、乳汁中から白い塊(ブツが出たと表現します)が出てきたり、熱発や食欲減退になる場合があり、あまりないですが、死んでしまうこともあります。 乳汁には感染した菌などが排出されたり、ブツが出たりする

          ポイ捨て良くない

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です! 今日は快晴、気温も適温!牛達にも心地よい日です。 牧草収穫で忙しい日々ですが、頑張っていきます! 飼料畑にて4月に入ったら酪農家さんにもよりますが、牧草収穫の時期になります。 去年の10月から11月に植えた牧草が良い感じに育っています。 晴れの日が数日続かないと、収穫は出来ないので、酪農家たちは天気が続くことを祈るばかりです。 酪農家のいわゆる農繁期なので、この時期は忙しいですが、牛達のためにせっせと収穫作業を頑張っています

          六次産業を考えてみた①

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です! 最近6次産業にチャレンジしていこうと行動を始めました。 なので、ここでは6次産業について勉強していることを綴っていきたいと思います。 六次産業とは1次産業である農業、水産業、林業など生産、2次産業である加工、製造業、3次産業である物販、サービス業をすべてを融合した新しい産業という位置づけになります。 なぜ6次なのかというと1,2,3を足してもかけても6になるからだそうです。 そうだったのか~と知りました。(笑) 僕たち酪

          日本の酪農

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です! GW初日ですが、鹿児島はあいにくの天気で大荒れです。 今までGWで休んだことないので、あまり関係ないんですけどね、、(笑) 酪農のイメージ酪農のイメージと言われて、おそらく放牧で大草原をのびのびしている牛達をイメージする方が多いと思います。 日本の乳牛で、少しの時間でも放牧されている乳牛の割合は約20%です。 ほとんどの牛は牛舎内で飼われている、いわゆる舎飼いということです。 僕の牧場も舎飼いでフリーバーンという方式で管理し

          牛達との距離感

          こんにちは。酪農コンシェルジュの西園です! 牧場では牧草の収穫が忙しい、いわゆる農繁期です。 忙しいですが、牛達の餌のために頑張ります。 近すぎず遠すぎず牛達との距離感は管理する上で非常に大切です。 人間に怯えて牛達がビクビクしているようではもちろんダメですが、あまり馴れ馴れしいのも考え物です。 牛達はおとなしいとはいえ、大型動物です。体重は800kg近いです。 人間なんてその気になれば、けちょんけちょんです。 人に慣れている牛は「痒い所を掻いて~」とどついてく

          酪農経営を考える

          こんにちは、酪農コンシェルジュの西園です。 鹿児島は晴天続き。牧草収穫の季節なので忙しくなります。 それではいってみましょう!! 生乳と牛乳は違う酪農家が出荷しているのは生乳になります。 牛乳ではないです。 ざっくり言ってしまえば、生乳と牛乳の違いは、加熱殺菌をしたかしていないかです。 酪農家が絞った生乳は集乳され、品質のチェックを受けます。異常風味がないか、抗生物質の残留がないかなどを調べます。 なんと、風味については検査する専任の人がいて、匂いや味覚に問題が

          成し遂げる力

          こんにちは、酪農コンシェルジュの西園です。 今回は、最近読んだ本の感想を書いてみたいと思います。 それではいってみましょう! 成し遂げる力 著者永守重信永守重信さんは一代で、日本電産という巨大組織を築いたとんでもない人物です。 この本は永守さんが務めた、日本電産の最高責任者を退任したときに書かれた本です。 読んでみた率直な感想は、とにかく熱い。読んでいるだけでも、その熱量が伝わってきます。 永守さんは70歳を過ぎていますが、今でも次代を担う若人を育てるために学校教

          経営の核を知る

          こんにちは、酪農コンシェルジュの西園です。 桜が満開!今週までは楽しめそうですね。 それではいってみましょう! コスト削減は難しい日本の畜産は、穀類を中心に飼料のほとんどを海外からの輸入に依存しています。 酪農でも、牧草などは自給生産していますが、穀類などはほぼ輸入に頼っている状況。(土地の面積に制約がある日本ではしょうがないところでもありますが。) そして、その穀類ですが、昨今の世界情勢から高騰しています。 酪農では、原価に占める飼料費の割合は40~50%になる