『ショーイング・アップ』に好きが詰まってた
ケリー・ライカートの『ショーイング・アップ』がとても好きで何回も見てしまう映画だと思う。もう2回見終わったとこ、個人的には2回見ること推奨
この映画の魅力はちょっと変な描写、ツッコミたくなる描写が散りばめられてる。それにツッコミを入れるわけもなくさーとシュールに過ぎてゆく。
私が2023年に1位にした「ニューヨーカーの暮らしHOWTOWITHJOHNWILSON」
にノリが若干作り手のセンスが似てる気がする。
コメディー作品として出してないのになんか変みたいな、みんな大好きな『かもめ食堂』のあの世界観にも似てるような気もするし私の好きがこの映画には詰まってた。
『ショーイング・アップ』を見た人がよくいう好きなシーンは主人公がゴミを漁ってるシーンだと思う。あそこはこの作品の序盤に出てきて退屈そうな映画の雰囲気に少しづつ魅了される1番最初の仕掛けのように感じる。
個人的には、父の家の同居人とか兄の家にいる男の子とかずーと気になるのに映画はほったらかしにしてる部分が多いとこが最高に好き。シャワーのお湯が2週間出ないのに最後まで直してもらえなかったとこも◎
鳩のために病院行って150ドルも治療費に払ってしまうとこ、授業の創作ダンスとか無表情で見つめてる描写←これ日常にもあるよなって共感してしまう。あの頭を無にして創作ダンスとか見てしまう感情。これが正解なんだよと自分に言い聞かす感じ。
主人公が家族に振り回されてるけど家族仲は良く、家族全員が主人公の仕事を応援してるとことか微笑ましい。主人公の周りにいる人に嫌な奴がいないのもポイントが高い。主人公が芸術家として全く成功してなくて普通に事務して働いてるのも現実の厳しさを物語っていてファンタジーではなくリアルだ。
そして、なによりも映画のオレゴンの街が魅力的過ぎて自然と街がうまく調和してる感じが良いし、主人公のファッションも作品もセンスが良い。
私自身は、ネットやSNSに依存してしまってる節々が見られる『ショーイング・アップ』の主人公の世界はスマホと言う存在がほぼ現れないし、主人公の生活を見ててもSNSの描写は全くなく、電話やDMなどの手段が使われてる。
私はこの作品を見てネットやSNSから離れた生活をしたいと思うようになった。
この作品を見て、それから離れることでケリー・ライカートのように日常に散りばめられたツッコミたくてもスルーしてしまう変な瞬間を敏感に「面白い」と捉えられる人になれるのではないだろうかと思う。この空気感のセンスには膨大なメディアのインプットではなく完全に日常の引き算から出てくるものだと思う。
私はこうしてSNSから距離を置いて、日々の生活と向き合おうと思う。