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読書ログ~今月出会った本たち~2025年2月

自分記録用。2025年2月に読んだ本のログ。

<紙の本>
宇野常寛著『庭の話』

1月に読むぞーって宣言していた本。なかなか紙の本が手に入らず、ちょっと車を走らせてショッピングモールの大きめ本屋さんへ。1冊だけあったのをゲット。たぶん今年読んだ本のベスト1になると思う。感想は別でまとめたいのでここではこれだけにしておこう。昨年のケアの探究が、この本に行きついた感じがして、自分的にはじんわりとしみわたっている。


宮地尚子著『傷を愛せるか』

トラウマ研究の第一人者宮地尚子さんのエッセイ。エッセイは、その方のプライベートに近い素の感覚がでるのがよい。特に、アカデミックな発信をメインとされる研究者の方のエッセイは貴重。エッセイに付箋つかえることめったにないけど、つけずにはいられない箇所がいくつかあった。

<Audibleで耳読>

宇野 常寛著『遅いインターネット』

『庭の話』を読みながら、前提知識として読んでおいた方がより理解が深まると思ったので、ひとまず耳読。

國分 功一郎著『目的への抵抗』

『庭の話』の中で、國分さんの『中動態の世界』と『暇と退屈の倫理学』を取り上げた章があったので、『暇と退屈の倫理学』をより深化という帯文に惹かれて耳読。高校生と大学生への講義が土台になっているのでとても分かりやすく、読みやすかった。暇と退屈…はかなり前に読んで記憶もあやふやなのだけど、消費と浪費の話(『庭の話』でも出てくる)を思い出せたのは収穫。すでにコロナ危機の頃にいろいろ繰り広げられた議論からは遠ざかっているのだけど、自由と責任の話については改めて深めたいと思ったので、國分さんと熊谷晋一郎さんの『<責任>の生成ー中動態と当事者研究』を読みたいと思う。

東畑 開人著『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』

東畑さんの本は、読みやすい。耳読ですっと内容が入ってくるのは、ストーリーがしっかりしてる、構成が考え抜かれていて、言葉選びがほんとにうまいからだと思う。章タイトルのつけ方も秀逸なので目次読むだけでも読みたくなる。
そして、2つの対になる言葉を並べてテーマにしているところが特徴的で、そこがおもしろい。2項対立でものごとを考えるのが個人的には好きではないけど、東畑さんの対概念はいいんだよなぁ。
この本も、「雨の日」と「晴れの日」という対概念が土台にある。
『居るのはつらいよ』の章タイトルも、「ケアとセラピー」「いるとする」「心と体」「専門家と素人」「円と線」「シロクマとクジラ」「治療者と患者」「人と構造」「アジールとアサイラム」で対になっていたし、『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』でも、 「小舟と海鳴り」「処方箋と補助線」「馬とジョッキー」「働くことと愛すること」「シェアとナイショ」「スッキリとモヤモヤ」「ポジティブとネガティブ」「純粋と不純」といった対概念があったなぁと改めて思い出した。

森 博嗣著『集中力はいらない』

ひさしぶりの森博嗣さん。15年ほど前にハマってた時期があったので懐かしい。頭を柔らかくしたいときに読むといいかもな。途中、編集者さんからの質問に答える形の章があるんだけど、糠に釘感があって逆におもしろい。(糠に釘な質問を繰り返しはさすがに、飽き飽きするから1.5倍速を2倍速に変えたけど)そんなこときいてどーすんの?みたいなのが延々と繰り返される。つくっているのではなく常態でちょっと変わった感覚の持ち主の思考って、常識人はちょっとあこがれるもので、つい、その秘密を知って真似したいと思うのかもしれないけど、ぶっちゃけ、真似しようと思っても素でこういう発想をできるようになんてなりはしない。

ジェーン・スー, 桜林 直子著『過去の握力 未来の浮力 あしたを生きる手引書』

じつは、サクちゃんファンです。娘さんのあーちんが、ほぼ日でイラストを描いていたくらいに知って、noteを書き始めた頃からウォッチしていて、夢組と叶え組の話でノックアウトされ。世の中的にはスーさんの方が知名度が高いかもだけど、わたしはサクちゃん経由でスーさんに出会った感じ。2人のポッドキャスト「となりの雑談」きっかけかな。全くタイプの違う2人が、対話を通じて、自分を知り、他人を知る。2人とも観察力、分析力、言語化力、そして何より例え力が秀逸。世界の見方を変えてみようかなーって思わせてくれる1冊です。なんか最近、人間関係がうまくいってない、変わりたいけど変われない、みたいなモヤモヤ症候群な人には、何らかの処方箋となるのではないかなぁ。

宮島 未奈著『婚活マエストロ』

本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』とその後の『成瀬は信じた道を行く』の作者宮島未奈さんの最新作。大きな事件が起こるわけでもない、複雑な人間模様が描かれるわけでもない、日常の延長線上にあるようなほっこりエンタメ系の小説は、軽く楽しめてよい。成瀬は出てこないけど、ミシガンはでてくるよ!

綿矢 りさ著『勝手にふるえてろ』

キンドルで読んだ三宅香帆さんの『文芸オタクの私が教える バズる文章教室 』で、登場したのでひさびさに綿矢さんの小説を読んでみた。元うさぎ飼いなので、ジャケットに惹かれたのもある。こじらせ系の心理描写は、自分とタイプが違いすぎて、まったくシンパシーは感じないけど、逆に新鮮なので、たまに読むようにしている。エンパシーの練習w

<kindle電子書籍>

三宅香帆著『文芸オタクの私が教える バズる文章教室 』

飛ぶ鳥を落とす勢いの文芸評論家三宅香帆さん。あの京都天狼院の元店長だった事実に最近気づき、さもありなんと思ってたところ。三宅さんの文章術の本としては『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 』も読んだけど、私は2019年(!)出版のこちらの方が好みかも。何より、彼女自身が楽しんで書いていたのであろうワクワクした感じが伝わってきて、こちらまで楽しくなる本である。本をひらくなり、目次の破壊力たるや。目次眺めるだけで、もうおもしろい。

CHAPTER1
バズるつかみ
良心的釣りモデル しいたけの誘引力
未解決疑問モデル 星野源の未熟力
質問一般化モデル 佐々木俊尚の身近力
嵐の前モデル 村田喜代子の展開力
時制変更モデル 森鴎外の寄添力
対にしてみるモデル 北原白秋の配合力
炎上回避モデル 山﨑ナオコーラの冒険力

CHAPTER2
バズる文体
5音9音ぶつ切りモデル 村上春樹の音感力
曖昧共感モデル かっぴーの弱気力
会話割り込みモデル 林真理子の強調力
名詞止めモデル 綿矢りさの簡潔力
過剰口語モデル 三浦しをんの台詞力
仮名8割モデル 向田邦子の柔和力
硬質筆致モデル 井上都の冷静力
接続詞省略モデル 恩田陸の快速力
壁ドンモデル 橋本治の豹変力
人柄調節モデル 上橋菜穂子の親身力
フィルターモデル 永麻里の代弁力
ゆっくり語りモデル 開高健の実直力
映像記録モデル 司馬遼太郎の撮影力
対照的造語モデル 三島由紀夫の対比力
主観バリバリモデル 谷崎潤一郎の気分力
ヨガ文モデル 紫原明子の息継力

CHAPTER3
バズる組み立て
妄想上昇モデル 秋元康の裏切力
結末省略モデル 江戸小噺の小粋力
同意先行モデル 高田明の視点力
倒叙ミステリーモデル さくらももこの配慮力
フォロー先行モデル こんまりの豪語力
主張進化モデル 齋藤孝の更新力
配役固定モデル 上野千鶴子の一貫力
譲歩逆説モデル 塩谷舞の先読力
感情一般化モデル 有川浩の共感力
長調短調モデル 藤崎彩織の旋律力
擬人化代弁モデル 武田砂鉄の錬金力
重ね合わせモデル 山極寿一の置換力
永世中立モデル 岸政彦の中立力
段階的説明モデル 瀧本哲史の要約力

CHAPTER4
バズる言葉選び
片仮名強調モデル 俵万智の合図力
共通言語投入モデル 松井玲奈の国民力
意味拡大モデル J・K・ローリングの超訳力
虚構現実往復モデル 阿川佐和子の声掛け力
過剰造語モデル 宮藤官九郎の激化力
一文はずしモデル よしもとばななの意味深力
二人称語りかけモデル 山田ズーニーの一対一力
余韻増幅モデル 岡本かの子の言い残し力
違和感モデル ナンシー関の警告力
白い肌雪の肌モデル ビジネス書の隠喩力
緊張と緩和モデル 又吉直樹のかぶせ力

(amazonの紹介文に記載の目次から引用)

みよ、このラインナップ!それぞれの文体を知ってる方がおもしろいけど、知らなくても例文が上がってるので、ちゃんと楽しめる1冊です。

総括すると、今月は、『庭の話』を読み始めたことからつながる読書が多かったなぁという印象。

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