読書感想文 ガルシア=マルケス『百年の孤独』を読んで(2025年夏休み用)
この作文は、2025年6年生の夏休みの宿題のために執筆しました。私はほぼ毎年、夏休み明けの課題の提出が遅れがちになるとのご指摘を、その時々の担任の先生たちから受けています。そして私は、そのことは内申点や中学受験のためにきっと良くないことだと思い、深く反省しました。もちろん早急にすませたい用事は山ほどあり、半年以上先の宿題をこなしている場合ではないのですが、しかし、本書のラストシーンに感銘を受けたので、私も来年の夏休みの宿題の読書感想文を2024年11月に先に仕上げておこうと決めました。
ラストシーンというのは、メルキアデスという一家と長らく関わるジプシーの記した羊皮紙の暗号が、実は一族の歴史を記したものであったことにアウレリャノという登場人物が気づくという場面です。そしてアウレリャノは、今現在に下された予言を先回りして自分の死ぬ日とその様子を知ろうと数ページを飛ばす、というものです。本書は全体を要約すると、マコンドという架空の都市におけるブエンディア一族の、100年間の栄光と滅亡を描いています。この小説には、狂人幽霊死人白痴幻覚などが話の全体にわたってたくさん出てきます。近親相姦みたいなのもあります。そこでは、男性であれば「アルカディオ」や「アウレリャノ」、女性ならば「アマランタ」や「ウルスラ」などの名前が一族の者に好んで名付けられます。また、何度も同じような時間を繰り返しているように感じる人物や、時折未来を直観することができる人物が登場します。アウレリャノ大佐という人物は、今はまだ戦争なんて起こっておらず概ね平和な村の出来事ばかり起きているにもかかわらず、ことあるごとに銃殺隊の前に立たされる未来が示されます。とてもキナくさい未来を想像させられ、どう展開するのだろう?と、わくわくさせられました。登場人物も気づいている通り、村とその村民は、逃れきれないような繁栄と滅亡の運命に支配されている、というかその上で踊らされているようです。読者である私も、運命からは逃れられないのだと感じさせられて、なんだか閉塞的な印象を受けました。
私は、この本を読んでとてもよかったと思いました。一生の中で本書を読んだ経験がないよりもある方が豊かでいいと思うからです。機会があれば友達にも勧めたいなと思いました。
私は自分の気に入った作品等を他人と共有する気があまりありません。なぜなら、せっかくお気に入りのものを共有したのに否定的な感想を言われたら、まるでその作品だけでなく私自身の選択(作品だけでなく相手選びも含め)が間違っていたように思えて傷つくからです。なので、それ相応の機会がなければ友達におすすめつもりはありません。一人でこっそり夜中とかに読みたい本だと思いました。あえて言うなら、言い換えると少ない時間労力紙幅価格等で強烈な余韻に長時間浸れるタイプの本であったり、ネットミームとして有名な一文があるタイプの本であったりするわけではありません。なので、小説にコスパ・タイパを求めている輩にはおすすめしかねます。
本書のねちっこくて緻密で長ったらしくてしつこい叙述を読んで、筒井康隆『ダンシングヴァニティ』や奥泉光『浪漫的な行軍の記録』などを思い出しました。どちらも本書と同じように、話が進んでるのかむしろ後退してるのかわからない、頭の揺さぶられるようなお話です。体力や集中力が必要な本ではありますが、示唆的で比喩的な何言ってるかわからない本ではないと思います。
私は時々、自分がサブスクや航空会社だったら、どんな映画や電子書籍、オーディブルやラジオなどをラインナップに加えるか、空想することがあります。その時に、ぜひこの『百年の孤独』や、それを読んで思い出した上記二書、また『百年の孤独』を元にした寺山修司原作の『さらば箱舟』という映画などもラインナップに加えたいと思います。
ところで、おすすめ作品を表示する機能ってAmaz◯のはカスでp◯xivのは優秀すぎると思います。同じ作者の別作品、同じタグが付けられた別作品など、さっき閲覧した作品とのなんらかの共通点を見出してピックアップしてくれているのだと思います。でも、同じようなものを続けて接種したい時と、この流れで全然違うものを摂取したい時があるので、うまく切り分けて新しいものを見つけられるようになればいいなと思います。