![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165846451/rectangle_large_type_2_c56ec5424d4a52d95875d7af39b3a20d.png?width=1200)
My favorite … ③ ポール・オースター
ポール•オースターが今年4月に亡くなられた。
77歳という年齢なので驚くことではないのかもしれないが、孤独の発明、ニューヨーク3部作(シティ・オブ・グラス、幽霊たち、鍵のかかった部屋)を発表した80年代以降、コンスタントに幅広いジャンルで活動をされてきた方なので、もう新しい作品に触れることが出来ないのかと思うとある種の虚無感のようなものを感じてしまう。
ポール・オースターは、ちょっと捉えどころのない作家で、最初は探偵小説(風)の作品でデビューしたが、最初からその枠には到底収まらない不思議な魅力を持っていた。
その後も多くの話題作を発表されてこられたが、一貫して感じるのはステレオタイプなストーリーとは無縁なこと。
何かをきっかけとしてありきたりの日常がカタチを変えていき、自分のアイデンティティが何なのかに向き合わざるを得なくなっていく…。
不条理な世界が現出して行くという点では、彼が影響を受けたというサミュエル・ベケットやカフカに通じるものだろう。
デビューした当初、彼のある種のオシャレ文学のような扱いを受けていたが、なかなか一筋縄ではいかない難解さも併せ持った現代を代表する作家であることは間違いない。