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読書完走#526『漢字とアジア』石川九楊 2018

“人間とは、言葉する存在である。人間の言葉は幻像と二重になって存在するという基本的な構造を持つ。”
石川九楊さんを教えてくれたのは前職のボス。達人が書く地図にも楽譜にも見える書に衝撃を受け、著書も手に取るように。
そのボスが交差点の信号待ちで言った「都市と文字とは同じものだ」という言葉が今でも頭を離れない。首都も大文字も英語でCapitalだよなとか考えるが、その真意には未だ到達しない。
本書では日本、中国、韓国・朝鮮、台湾そしてベトナムを含む東アジアを「漢字文明圏」と捉え、文字を通してそれぞれの国の成り立ちを明らかにする。監事との出会い、交わり方がその国のかたちを築き上げた。日本では琉球(沖縄)と文字をもたないアイヌ(北海道)についても章を設け、それぞれの文化の独自性に触れている。
日本語も日本文化も、そして日本人も「漢字がつくった」というのが本書の主張の要点だ。国も文字から作られる。そこから「都市と文字は同じもの」という発想に繋がるヒントがあるように思う。