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城山文庫の書棚から091『インフォーマル・パブリック・ライフ』飯田美樹ミラツク 2024

カフェ文化研究家の飯田さん、時間をかけ満を持して書いた2冊目の著書のテーマは“パブリック・ライフ”。街は誰のものなのか。アメリカ型の郊外の何もない街で子育てを経験したことが彼女の執筆の原動力となっている。

整然としたニュータウンで子育てに孤軍奮闘し、疎外感と孤独を味わった飯田さんは「郊外の街にこそサードプレイスが必要だ」と強調する。そこに欠けているのは親密な空間であり、多様性を許容するオープンな場所だ。

人が惹かれる街には法則がある。彼女はそれを7つのルールにまとめている。歩行者空間化、座れる場所、ハイライト、エッジ、統一感と歓迎感、用途の混合そして飲食店がキーワードだ。一軒のカフェから街は変えられる。必要なのは、本当の意味でパブリックな場所だと思う。

あえて「インフォーマル」とつけたのは、日本ではパブリックというと役所など公的機関・公共空間が想起されるから。しかし本場英国のパブは民営だし、パブリック・スクールは名門私立学校である。パブリックの担い手は官や役所でなく、我々市民なのだ。