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城山文庫の書棚から087『建築と不動産のあいだ』高橋寿太郎学芸出版社 2015
「建築と不動産のあいだを追究する」をコンセプトに掲げる創造系不動産株式会社の高橋氏。建築出身で設計事務所と不動産屋を経て起業、建主を建築と不動産の両面から支える仕事をしている。
住宅という人生最大の買物には、建築と不動産という2つの側面がある。それぞれに別々の業界があり別々のプロが関わるのが通常の在り方だった。今や建築家には不動産の知識が求められ、不動産屋には建築の知見が求められる。
著者が主戦場とする住宅業界、建築デザインを取り巻く社会背景・ビジネス環境は2000年辺りを契機として大きく変化したという見解に同意する。背景として大きいのは不動産証券化=収益還元評価の一般化と2008年のリーマンショックだろう。
本書では建築に不動産思考が求められる理由を解説し、クリエイティブな不動産思考の方法論を開示。6つのケーススタディを通じて建築と不動産を繋ぐ実践を紹介する。日頃の仕事と近いフィールドで活躍する高橋氏と近い将来コラボする日が来るかもしれない。