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城山文庫の書棚から046『シン・ニホン』安宅和人 NEWS PICKS 2010

大学教育や社会保障制度など現代の日本が直面する深刻な課題を鋭くえぐり、悲観するのでなく明るい未来に向けた解決策を提言する。シン・ニホンというタイトルの所以だ。

よく言われる「AI vs. 人間」の議論に殆ど意味はない。脳神経科学のPh.D.を持つ安宅さんは断言する。AIは知覚しないし、意志を持たないからだ。これから差が開くのは、データやAIを使い倒せる人とそうでない人の違いだと言う。

本書の最後に安宅さんは「風の谷」構想を提案する。維持が困難になりつつある日本の地方を真に価値のある場所にすることをめざす、都市集中型の未来へのオルタナティブだ。

「大切なのは、自らハンドルを握り、どうしたら希望の持てる未来になるのかを考え、できることから仕掛けていくことだ」という安宅さんのポジティブな姿勢に深く共感する。