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読書完走#355『ニュー・アソシエーショニスト宣言』柄谷行人 2021

2000年のNAM発足から21年、わずか2年の活動ののちに解散してから19年。中心人物だった柄谷行人さん自身による総括。自由かつ平等な社会を実現させるための運動=NAMはなぜ頓挫したのか。そして約20年を経た今なお、その可能性は開かれているのか。

運動の起源は柄谷さんが東大に入学した1960年に遡る。安保闘争を経てブントの下部組織だった社学同を駒場で再建。そこから40年後の2000年にNAMを立ち上げた柄谷さんは、80歳になる今なお、アソシエーションについて考え、書き続けている。

2011年に福島の原発事故を受けて大きなデモが起きた時、柄谷さんはこう言った。「デモなどで社会が変わるか、という人たちもいる。しかし、デモで社会は確実に変わる。なぜなら、デモをすれば、日本はデモをする社会に変わるからだ。」

台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン氏が多大な影響を受けているという柄谷さん。彼が始めたNAMは過去の遺物ではなく、その精神は未来に向けて開かれている。現代日本における最高峰の知性に、まだまだ現役で活躍してほしい。