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のらねこじれんま
駅の駐輪場には野良猫たちが棲みついている。
10匹から15匹くらいの猫が、自転車の下やバイクの足元に、たまにかっぱを入れっぱなしの自転車の籠の上で気持ちよさそうに寝ていることも。
10匹程度だと、3つくらいの家族がいることになる。ああここは親子だなと分かる子もいれば、初めて見る赤ちゃんもいて、つまりはこの駐輪場で家族が増えたり減ったりを繰り返している。
これが、みんなすごく美形の猫で。人間慣れしているからいつも優雅で、美しい。ここ最近で一番色気を感じたのが、猫の1匹が木の幹を前足で押さえながら舐めていたときなくらいに。
しかし、彼らは野良猫。駐輪場で飼っているわけでもなく、ご飯をあげたり彼らに何か影響を与えてはいけない。丸々としているときとやせ細っているときがあることに気が付いても、私は干渉したくない。
私は彼らに絶対に触らない。どんなに綺麗な瞳でこっちを見て甘い声で鳴いて、それで心が動いても、撫でない、撫でない。
でも、かわいいんです。人を怖がらないから、至近距離で見つめ合う、なんてこともできて。子猫同士で丸まって日陰で寝ていたり、親の後を一生懸命ついて歩く子猫の様子を見ると、猫もちゃんと生活していることに気づかされる。
野良猫たちにここにずっといてほしいと思う。
でも、私は猫を助けない。触れない。
台風が近づいている。