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静かな主張

今日も、ここはまずまずの賑わい。

アルバイトをしているカフェは百貨店の中にあって、若い子は少なく、お客さんの年齢層は高め。

ほぼ毎日モーニングを食べにくる常連さん、友人とおしゃべりを楽しむ高齢の女性たち、カウンターに一人座る人。

大学生・アルバイト・人見知りの私には、合わないと感じる人も多い。
接客は苦手。でも、人と関わることから逃げたくない。

12時を過ぎると、一日で一番忙しくなる。手や口が無意識に動いてくれる不思議な時間だ。

一人、若いお客さんが座っている。奥の席でコーヒーを飲んでいた。
空いたお皿が見えた。

このまま下げにいってはいけない。

直感的にそう思った。

私だったら、ついでにお皿を下げてくれる方が気持ちが楽だな。

店長に見つかるとすぐに下げてと言われるけれど、私は近くのお客さんのお皿が空くのを待った。

「空いたお皿、お下げしますね」

近くの席のお皿を片手に、小さめの声で言うと、若いお客さんはすっとお皿を渡してくれた。

目が合ったとき、やっぱり間違ってなかったと思った。
笑い方や動作が、私とよく似ている。

勘違いかもしれない。これは自己満足。

それでも、私みたいな人にとっては、同じような店員がいたら嬉しいかな。

いつものおばあさんに呼ばれ、ピッチャーを手に取った。話が長い人だから、覚悟してカウンターに向かった。

#はたらいて笑顔になれた瞬間

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