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コーヒーを迎えること
私は、一度買ったコーヒーを家族に迎え入れている。
インドネシアや南アメリカ、アフリカで育てられたコーヒー豆が、あれこれを経て私の手元に。だったら一生お付き合いしてください。
ようこそ。
はじめまして、よろしく
コーヒーショップやスーパーで手に取るいつものコーヒー(挽かれたタイプ派)や、じっくり選んだいつもと違うコーヒー。
洒落たパッケージに心躍って忘れがちだが、これも農産物だ。
産地=風味の個性ではあるけれど、生産地と生産者に対して想像力を働かせると、自然と残るものは一つか二つ。
顔を近づけるといい香りがして、よろしく。
いただきます
買ったコーヒーを移し替えた容器のフタを開けるときが、いただきます。
香りが部屋を歩く間に、私はいつかの苺のパックを用意する。
ようこそ
コーヒーを淹れ終えたら、使い古した苺のパックにコーヒーかすを入れて、洗濯物を干してある屋根の下で乾燥させる。
晴れていれば半日でさらさらの状態になって、別のパックにストック。
ようこそ。
たまに、熱が抜けてからコーヒーかすをぎゅっと絞ることも。
どうぞ
乾いたコーヒーかすがある程度たまったら、庭の延長にある畑に撒くか、
花壇の土と混ぜ合わせる。
遠い国の農産物が、土に還りました。
それは、ただ還元したわけではない。
家に迎え入れた、と私は考えている。
コーヒーかすと土を上手に発酵させると肥料になるが、そうでなくても土を通して一緒になるというのは結構幸せなもの。
あなたはここへ、今度は畑へ、と部屋に案内して、どうぞ。
そして、どうぞよろしく。
数年前の、コーヒーの悩み
コーヒーを淹れると、コーヒーかすから水が落ちないように気を付けて、一気にゴミ箱へ。
水分たっぷり、ずっしりのまま捨てていた。
それをごみとして燃やすエネルギーはどれほどか。
嗜好品ってずるいかも。
現在の、コーヒーの悩み
コーヒーかすがごみになることはなくなり、捨てるのはカラっカラのフィルターだけ。
カラフェとドリッパーがすとんと重ねられて、フィルターが網でできているコーヒーを淹れる陶器のセットを貰った。
毎回出るごみがなくなった。
と思いきや、フィルター部分の網目にコーヒーがけっこう詰まる。
とうとう一杯分のコーヒーがまともに淹れられなくなった。
さあ、どうしよう。
網だけ替えるか、ペーパーフィルターを買うか。
コーヒーを迎えるのはけっこう大変だ。