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エッセイ

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楽しいもの、大事なものを見つけて言葉にするのが好きなんです。 「分かる!」も「へー」も嬉しいです。「へー・・・」も、是非。
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2023年7月の記事一覧

約束事か綺麗事か

自分が口にした言葉に責任を持っている人はいるだろうか。 人前で宣言した言葉に限らず、日常生活でふと口にした言葉を、私やあなたは覚えているだろうか。 吐いた言葉に忠実に生きようとすると、当然言葉に苦しめられるだろう。口は禍の元、因果応報と言うが、過去の言葉と未来の言葉に縛られようものなら、この瞬間私は何と話すべきだろうか。 これは、前向きな選択の可能性でもあるのだ。 自分が選んだ言葉に苦しむということは、恐らくは自分が好ましいと思う姿、しかし今の自分には届いていない姿を基に

言葉の海

私は海に縁がない。数駅先に海がある場所に住んでいるにも拘わらず、つまりは積極的に海に触れようとは思わないまま暮らしてきた。 その分、たまに訪れる海は私を揺さぶるのだ。 その日、私は一人で海へ向かった。JRを使うとあっさりと辿り着いた。 何か目的がある訳ではなかったので、ぼうっと波や釣りをする人を眺め、穏やかな音に包まれていた。ぼんやりとではあったが、考え事をするにはぴったりの場所だった。 そこで、私は思ったのだ。こうやってぐるぐると考えていることを文章にしたい。それはきっ

ブーメランのような

あなたのままでいい そんな言葉を口にできる人は、案外少ないのではないかと思う。二十数年ではあるが、これまでの人生で滑らかに「それでいい」と言ってくれた人は、ただ一人。 大学生、または大学院生と教員は、親しくなれば何でも話すようになる。私とその教授―M先生は、割と気が合うので、ゼミの後やちょっとした時間にぽつぽつと思っていることを話すことがある。 こんな会話を覚えている。M先生と私=Yとしておこう。 「この一年はどうだった。五点満点で言えば?」 「四点です」 「結構高評価