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私は間違えていた。 最寄り駅の駐輪場で生きている美形の猫たち。もう何年もそこを訪れているから、同じ毛色や目の色をした新しい顔の猫を何度も見たし、これまではいなかった顔が仲間に入っていたこともある。 ただ、毛がふわふわとした子猫が、一日で姿を消したのは初めてだった。 駐輪場にいる猫は、誰もが人懐っこいのが特徴だったが、圧倒的に甘え上手な二匹は、まだ恐れを知らないのか、頼りない身体で自転車の隙間を縫ってこちらに近付いてくる。 初めて聞いた高い鳴き声と、足元にすり寄ってくる柔ら