【日記】 23/7/21 サンパウロ、1970年代、フィンランド
・サンパウロ
たぶん多くの読者が分からないであろう話から入る。
午後18時、その福音は届いた。
『FESTIVAL de FRUE 2023』
1st LINE UPでTim Bernardes(チン・ベルナルデス)の出演が発表された。
FESTIVAL de FRUEは11月初旬に静岡県掛川市で開催されるミュージックフィスティバルだ。
そして、Tim Bernardesはサンパウロのシンガーソングライターで、O Ternoというバンドでもプレイしている。
その音楽を一言で表現するなら、「南米の美しい神話」だろう。
Tim Bernardesはずっと、ずっと来日を待ち望んでいたアーティストの一人だ。FESTIVAL de FRUEも行ってみたいフェスであったので、とにかく楽しみだ。
遥か地球の裏側から、待ち人来たる。こんな素敵なことはそうないでしょう。
日記なのに読者がいることを前提として書いてしまった。もちろん、ここで公開しているということは、誰かに読んでもらうことを望んでいる。だけど、やはり日記なので、プライベートを装った方がよかっただろう。出来れば今日限りとしたい。
そんなこんなで、その福音に浮かれていたら、にわか雨が降ってきた。
この日は金曜日だし、この後楽しみにしている予定もあり、変なテンションになってきた。その変なテンションのまま、小鳥書房にて閉店後の本屋で開かれるイベント『良夜(あたらよ)』へいく。
・1970年代
この日はゲストとして、湯島で夜学バーを営んでいたジャッキーさんこと、尾崎昂巨さんがバーテンダーを兼ねて来店されていた。
とても魅力的な方だった。そのときは、その魅力をうまく言葉にできなかったけど、当日に買ったジャッキーさんの『あたらよのステディー・バー』という本を読み、なるほど、ジャッキーさんの魅力を言葉にするなら、少年のような透明さかもしれないと思った。
ジャッキーさんは場を積極的につくっていく。『あたらよのステディー・バー』(小鳥書房のイベントの名前と同じなのは偶然とのこと。漢字は違う)では遠心的ということについて書かれていた。そして宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』についても。ジャッキーさんは、お客さんを遠くへ連れて行ってくれる、少年の心を残した車掌なのもしれない。もちろん誰もおいていかない。
ジャッキーさんは服装もかわいかった。黒と白のボーダーのTシャツ、生地がちょっと特殊だったかも?肩の辺りまで横に大きく開いた襟元。ネイビーの少し膨らみがある短パン。黄緑よりも、ネオンイエローと呼ぶ方が相応しい靴下。犬が刺繍してある。『ドラえもん のび太の宇宙戦争』に出てくるロコロコという犬だと教えてくれた。
ジャッキーさんがこの日用意した、サントリーのヴィンテージのジンは、とても美味しかった。70年代のジンらしい。確かに、ジンのボトルやラベルは、遥か遠くからやってきたことを物語ったていた。
夜学バーは夏が終わる頃に再開するとのこと。ぜひ行ってみたいと思う。
1時間が経過した。次の予定へ行く時間がやって来た。
・フィンランド
まだ雨は降っていただろうか。
友人と友人の知人と、その知人の知人の方達とスナック水中へ。
水中では、その時々で過ごし方が変わる。
この日は歌に漂っていた記憶の方が濃い。そして僕自身も久しぶりに歌った。僕は自分の歌にコンプレックスがあるが、歌うのは好きだ。最近はコンプレックスの方が強かったのだが、一緒にいる人たちが歌っているのを聴いて歌いたくなった。楽しかった。褒めても貰える。しかし、僕にとって歌うことは、ずっと手の届かない憧れである。
水中でもジンを飲んだ。この日は、遠い北欧の国、フィンランドのジンが届いていた。丁度今日届いたらしい。オーク樽で熟成されたジンとのこと。薬草のような香りが心地よい。
水中に一緒いった知人の方が履いていた、赤いフワッとしたパンツがかわいかった。僕はシンプルで少しオーバーサイズの服以外あまり似合わないので羨ましい。友人にも言われたけど、好きな服を着ればいいと思う。着たい服を着ればいいと思う。
しかし、僕にはどうやら着たいと思える服を着られるようになる努力が必要そうだ。着たい服が着られるようにがんばってみようかな。
まずは服の声を聴くようにしてみようかな。服は何を語っているのか。服は何を求めているのか。僕はどう変わればいいのか。この服で僕は自分の中の他者を見つけることができるだろうか。服と対話をしてみよう。
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