#22.再発部位への放射線治療

2019年10月28日に妻は再入院。
再発部位への放射線治療を行うことになった。

定位放射線治療(ノバリス)の実施で合計5回35グレイの集中照射予定。11月上旬には退院する予定だった。

私は再発部位の拡大について勿論心配はしていたが、前回のnoteでも書いた『妻の記憶』が非常に気がかりだった。

これ以上、段々と記憶障害が進んでいくのではないか…
近い将来は私や子供達のことも忘れていくのではないか…

とても不安だった。

ただその一方で主治医が言った様に時間が経つにつれて『妻の記憶』は回復していくのではないのか、という期待もしていた。

ただそうはならなかった。
急激に悪化はしていかなかったが、大幅な改善もなかった

私は主治医に会う度に『妻の記憶』について相談していた。
ただその度に言われることは一緒。

手術自体は失敗していない。記憶は時期に戻り良くなると思う」と。

手術自体の成功や失敗を追求しているわけではない。私は『妻の記憶が戻らない理由と、記憶が戻る方法が知りたかった

その事について主治医に聞いても全くピンとくる回答がなかったので、自分なりに本やネット記事で調べた。

初回に当てた放射線治療(全脳及び脊髄)の後遺障害でないか…


原発部位の腫瘍拡大が進んでいるのではないか…


MRIでも目に見えないレベルで脳の正常細胞が破壊され、記憶の神経系に
影響を及ぼしているのではないか…


最後に『やはり手術の負担が大きく、記憶を司る部位の正常細胞を破壊したのではないか…。私と妻の手術を行う選択は間違っていたのではないか…

色々と考え、悶々としながらも放射線治療をスケジュール通り行った。

放射線治療は身体の負担なく、順調に治療は進んでいった。
妻も体調面で言えば日に日に回復してきており、そのこと自体は安心した。

放射線治療は順調で11月6日に妻は退院することができ自宅へ戻った。

ただその後は何日も自宅で過ごしたが、『妻の記憶』は戻らなかった。

また後日、主治医から聞いたのだが入院期間中に術後の脳のダメージなどを調べる為に、認知症の疑いがある患者等に対し行う「ミニメンタルテスト」を妻に行ったそうだ。

その結果は後日、お伝えするとの事であった。

この時に思ったのが「認知症」というのは高齢者の方がゆくゆくはなるもの(大変失礼かもしれないが…)で、私にとってはまだ現実味のない先の長い将来的なものであると考えていた。

仮にそのテストで妻が正式に「認知症」と診断された場合、私は正直『この自分の歳で「認知症の妻」を介護していくのかな…。私のことや、子どもたちのことも分からなくなったら本当にどうしよう』と思った。

脳腫瘍は病変部位が脳という神経系であり、こういった「認知症」という様な障害を抱える事になることも覚悟しておかなくてはならないんだなと私は改めて思った。

せめて再発部位に対する放射線の効果を願いつつ、私は日々を過ごした。


記事を通じて、少しでも誰かのお役に立てればと思っています。