”いつか”ミス・サイゴンを見る時までに、知っておきたいベトナム③
「奇跡よ起きろ…!」って祈るような思いでしたが、『ミス・サイゴン』全公演中止になってしまいましたね…。
楽しみにしていたので、本当に残念です。
「サイゴン・シリーズ、書く意味無いのかも…」と、モチベーションが下がっていたのですが、
いつか、サイゴンがまた上演されるように。
いつか、このキャストさんで見れますように。
という願いと、舞台業界の復活と、コロナウイルス・ファックな思いを込めて、予定していたものは最後まで書こうと思い直しました。
自分の気持ちを供養するための文章ですが、興味がある方はどうぞ。
(以前の内容は、こちら↓↓↓↓)
ベトナムの女性と性風俗について
今回は『ベトナムの女性と性風俗について』というテーマで書きます。
『ミス・サイゴン2020』の公式HPのあらすじに、
(中略)……キムは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーで、アメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。
と書かれているのですが、今回はこの『キャバレー』の中身に触れますので、あらすじ以上の内容を含みます。
以下、気にされる方は読むのをお控えください。
ヨーロッパ系ミュージカル、娼婦役出過ぎ問題!?
少し余談なのですが、私は以前から「ヨーロッパ系ミュージカルって、娼婦役が良く出て来るな~」と感じていました。
ヨーロッパ系のミュージカルの全てを知っている訳ではありませんが、
『CATS』『レ・ミゼラブル』『1789』『ジキル&ハイド』『エリザベート』『マリーアントワネット』
などなど…、『性を売る職業』というキャラクターが出てくる率が、ブロードウェイ系ミュージカルと比較し、圧倒的に多いと思うのです。
そして、ヨーロッパ系ミュージカルである『ミス・サイゴン』にも、性を売る女性がたくさん出てきます。それが、あらすじで書かれている『キャバレー』で働く女性達です。
このようなキャラクターは、
ヨーロッパの演劇文化(悲劇→カタルシスを表現する文化)や、宗教観、階級文化など、色々な要素が混ざって支持されているのだと思いますが、
このキャラクターを登場させる意味に説得力が無いと、悲しみや苦しみを単純に(ステレオ・タイプ的に)表現してるように見えたり、女性の性を過度にファンタジー化しているように見えてしまう、とても難しいキャラクターだと思うのです。
戦争や貧困と女性の『性』
ベトナム戦争だけでなく、戦争全般の歴史を勉強していくと、いかに戦争や貧困と性産業というのが切っても切れない関係であるのか、という事が良くわかります。
当時の南ベトナム(サイゴン市)にも、アメリカ兵や、アメリカを支援していた韓国兵に向けた、性風俗施設があったようです。
そこで働く女性達は、強制的に働かされている人・国家を守るために働いている人・だまされた人・お金のために働く人…などなど、様々な人がいたようです。
決して衛生的な環境ではなく、1日に何人もの男性を相手にしなければならない環境であったり、病気になって亡くなる方も多かったと言います。
またベトナム戦争では、そのような性風俗施設を『ディズニーランド』と呼んでいたようです。
その現実的背景が、ミス・サイゴンで描かれている『ドリームランド(キャバレー)』のイメージのもとになったのかもしれません。
『ミス・サイゴン』では、アメリカ軍兵士とキャバレーの女性達とのやり取りを、不快感を感じるぐらい生々しく描いています。
戦時中にあった出来事を見ると、性風俗で働く女性というキャラクターを作品に登場させた事に、意味が見えてくるような気がします。
実際に、跡地であろう場所に行ってきた!!
http://ianfu-shinjitu.jp/bks/03/box5/b04.pdf
あくまでこの情報(↑↑)によるとですが、当時の兵士たちが利用していた施設は、サイゴン市(現:ホーチミン市)の『ブイビエン通り』という所にあったようです。
注:上の記事は、政治的なニュアンスが強いようですので、どの程度正しい情報かはわかりません。考慮してお読みください。
実際の場所は、ここです。
南ベトナム大統領官邸やアメリカ大使館からも比較的近く、バイクや車で行けばすぐの距離感です。
かつて、兵士たちが戦いの合間に足を運んだ通りなのかもしれません。
私も実際に行ってみました!
通りに、大音量のアゲアゲミュージックがなり響き、
セクシーワンピースを着た客引き女性がひっきりなしに声をかけてくる、新宿歌舞伎町もびっくりの歓楽街になっていました!
路上で突然始まったファイヤーパフォーマンス!!
迫力が凄かった!!
通りには、ミス・サイゴンと言うバーもありました!
ここにかつて『ドリームランド』があったりして…(笑)
ガイドブックにも載っている観光地ではありますが、大通りを離れた脇道は、細く、明かりも暗く、治安が悪そうな雰囲気でした。
また、すれ違った男性が吸っていた細い紙たばこからは、たばこと違う不思議なニオイがしていたり…。
戦後、どのようにこの通りが発展してきたのかわかりませんが、勝手に歴史を感じて感慨深く思いました。
ベトナムの女性は強い
ベトナムで参加したツアーのガイドさんが言っていました。
「ベトナムの男の人は、あまり働かない(笑)。昼間から喫茶店にたむろして、たばこを吸ったり、昼寝したり。」
「でも女性は本当に強い。よく働いて、ベトナムを支えている。」
ガイドさんの言う通り、ベトナムの街の様子をよく見ると、謎のカラフルなプラスチック製の椅子にダルそうに座った男性陣の横目に、喫茶店や飲食店の女性店員さんが、一生懸命働いている(笑)。
(写真を撮ってなくて残念です!)
ミス・サイゴンでも、ベトナム人女性の強さと優しさが、色々な形で描かれています。この『ベトナム人女性の強さ』は、この作品の見どころでもあります。
ベトナムの女性達は、昔も・今も、強くたくましく美しいんですね!!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
『ミス・サイゴン2020』は公演中止になってしまいましたが、いつか再演される日のために書いてみました。
自己満足のための文章ですが、楽しんでいただける人がいれば幸いです。
次回でこのシリーズは最後です。
次回は、『なぜアメリカはベトナム戦争に負けたのか』というのを、ベトコンの強さにフォーカスして書きたいと思います。
それでは、手洗いうがい、社会的距離に気を付けて!
どうぞ、お体ご自愛ください。
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