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エッセイ:大ちゃんは○○である62

1Kの狭いアパートの一室。
座椅子に腰かけコーヒーを一口啜った僕は
一件目の会社に電話をしてみた。
数回のコール音がした後、
「はい、お電話ありがとうございます。
ふれあいクラブ、佐藤でございます。」
とハキハキした口調の女性が電話口に出た。
「もしもし、あの、求人を見てお電話したんですが、
まだ募集はしていますでしょうか?」
なるべく印象が良いようにハツラツとした声を出した。
「はい、していますよ。失礼ですが、現在何か資格はお持ちでしょうか?」
資格の有無…聞かれるとは思っていたが…
まあ、問題はないだろう。
「いえ、あの、資格は持っていないんですが。」
「あーー。そうですか。」
しばしの沈黙があった。
「あ、あの。資格がないと厳しいんでしょうか?」
沈黙の時間などほんの一瞬であったはずなのに、
その一瞬を埋めるかのように僕は尋ねた。
すると、
「大変申し訳ありませんが、今は有資格者の方を優先的に面接させて頂いておりますので。」
との返答。
僕は耳を疑った。正直思ってもみない反応だった。
無資格OKと謳っている求人にのみ電話をかけているのに、まさか面接を断られるとは。
「そうですか。分かりました、失礼致します。」
と言って電話を切った。
まあまあまあまあ、落胆する必要はない。
まだ一社目じゃないか。たまたまこの会社が有資格者を求めていただけなんだよ。
でも、それならそれで『無資格OK』なんて書かないでほしいよ。
などと一人ゴチながら自分を奮い立たせた。
そして、二件目の求人先にダイヤルをした。

つづく

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