
【ZHYVAGO姉妹店へインタビューVol.1】(後編)「ZHYVAGO COFFEE WORKS」北谷から始まるフォースウェーブコーヒーカルチャー
北谷町に異なるコンセプトで広がる
ZHYVAGOの世界
沖縄北谷町アメリカンビレッジに位置する
ZHYVAGO COFFEE ROASTERY__
その特徴1つは、徒歩圏内に展開される4つの姉妹店との連携です。
バーガーショップ、レストラン、ドーナツショップ、アイスクリームショップといった多彩な店舗が、それぞれ異なるコンセプトで訪れる人々に非日常の体験を提供しています。どの店舗にも共通するのは、こだわり抜かれたサービスと上質なひとときを届けたいというZHYVAGOの信念。
今回、編集部では、その姉妹店のひとつであるZHYVAGO COFFEE WORKSの店長へインタビューを実施しました。海沿いの特別なロケーションで、コーヒーを通じた「体験」を提供し続けるWORKS。前編に引き続き、店舗のコンセプトやZHYVAGO COFFEE ROASTERYとの関わり、今後のビジョンについてもお聞きしました。
PROFILE|Shiki Nakasone
2015年に「ZHYVAGO」にクルーとして入社。後にZHYVAGOの第一号店である海沿いのコーヒースタンドZHYVAGO COFFEE WORKSの店長に就任。その後、レストラン「VONGO & ANCHOR」や、フラッグシップ店である「ZHYVAGO COFFEE ROASTERY」など複数の姉妹店立ち上げにも携わる。ワインソムリエの資格を持つほどのワイン愛好家であり、コーヒーとワインの世界を探究し続けている。
「沖縄」と「アメリカ西海岸」を融合したハイブリッドな空間
─「沖縄」と「アメリカ西海岸」を融合したハイブリッドな空間というコンセプトが特徴的ですが、どのようなインスピレーションを受けて、この店舗作りに至ったのか教えてください。
仲宗根:このコンセプトは、社長が海外を旅して得た経験から生まれています。例えば、海外のホテルに滞在して、ホテルのカフェでスタッフとの会話を楽しんだり、そこで新しい出会いや気づきを得たりした経験がきっかけになっています。
私自身もコロナ前までは何度か海外出張に行く機会がありました。最初に訪れたのはサンフランシスコで、そこでは「サードウェーブ」と言われるコーヒーカルチャーに触れました。その後もポートランドやメルボルンに出張し、現地の雰囲気やコーヒー文化からたくさんのインスピレーションを受けました。
これらの体験を日本に持ち帰る際、社長だけでなく、私たちスタッフも一緒にその感動や雰囲気を現場に落とし込む必要があります。私たち自身が旅を通じて得た感動を、どのようにお店に反映させるかが大切です。特に、スタッフ全員が同じ方向を向いて取り組むことで、初めてお客様にその感動が伝わると考えています。
良い記憶を持ち帰って欲しい。
海外で体験した"感動"を店舗でも再現
─仲宗根さんが海外出張で体験された中で、特に感動し、「自分のお店でも再現したい」と思ったことを教えてください。
仲宗根:海外で特に印象的だったのは、お客様とのフランクでフレンドリーな接客スタイルですね。日本では、どうしてもかしこまった接客が主流になりがちですが、海外のカフェではどのお店でもスタッフがお客様と気軽に会話を楽しんでいるのが印象的でした。例えば、観光客とわかると「どこから来たんですか?」と尋ねたり、その土地の話題で会話が広がる光景をよく目にしました。
私が特に感動したのは、サンフランシスコのコーヒーショップでの体験です。日本から来たと伝えると、スタッフがとても親切に接してくれて、「せっかく遠くから来たんだから」と、その土地ならではのおすすめを教えてくれるなど、心温まる交流がありました。そのとき、自分が不慣れな土地にいる不安感が一瞬で解消され、「ここに来てよかった」と心から思えたんです。
こうした経験から、お店での接客はただ「注文を受けて提供する」だけではなく、お客様がその場にいること自体を楽しめるようにしたいと考えています。観光で訪れる方や地元の方にとって、私たちのお店が「沖縄に来てよかった」「このお店に来てよかった」と思ってもらえるきっかけの一つになれば、それ以上に嬉しいことはありません。些細なことでも、何か良い記憶を持ち帰っていただけるようなお店作りを目指しています。

自家焙煎の始まり。
『ZHYVAGO COFFEE ROASTERY』誕生
─ZHYVAGO COFFEE ROASTERYができてから、どのような変化が生まれましたか?
仲宗根:ROASTERYができたことで、まず大きかったのは「自家焙煎」に切り替わったことですね。それまでは沖縄市にある豆ポレポレさんに焙煎をお願いしていましたが、ROASTERYができたことで、より自分たちで味作りをコントロールできるようになりました。
三上(ROASTERY店長兼ヘッドロースター)がヘッドロースターとして焙煎を担当するようになってから、コーヒーに関するコミュニケーションが一層密になったと感じます。バリスタが焙煎士に直接意見を伝えることができる環境になり、より良い一杯を追求できるようになりました。

─「できるだけ自社製造で」というこだわりがより明確になった瞬間ですね。お客様にも変化は見られましたか?
仲宗根:利用してくださるお客様の幅が広がりました。ROASTERYができる前は、どちらかというと海側のWORKSが主な拠点でしたが、ROASTERYがオープンしたことで、また違った雰囲気やニーズを持つお客様が訪れるようになりました。例えば、ROASTERYの常連のお客様がたまにWORKSを訪れたり、その逆も然りです。そういったお客様同士の行き来が生まれたことで、全体のコミュニティが広がった印象があります。
ただ、コーヒーに対する姿勢や味作りへのこだわりは、ROASTERYができる前から変わっていません。むしろ、自家焙煎が可能になったことで、それをより多くの方に伝える機会が増えたという感覚ですね。ROASTERYがあることで、私たちのコーヒーを知るきっかけが広がり、それがさらに多くのお客様に足を運んでいただける理由の一つになっていると思います。
北谷独自のフォースウェーブコーヒーカルチャー
─ZHYVAGOが掲げる「北谷独自のフォースウェーブコーヒーカルチャー」とは、具体的にどのようなビジョンなのでしょうか?
仲宗根:「フォースウェーブコーヒーカルチャー」とは、単なるコーヒー提供だけに留まらず、街全体の活性化を目指す取り組みそのものです。たとえば、ポートランドの街が一例ですが、かつて治安が悪く、何もなかった地域に個性的な飲食店ができたことで、人々が集まり、街が活気づきました。そこに新たな店舗が加わり、さらに多くの人が訪れるようになる。こうした流れが街を変える力を持っているんです。
実際、ZHYVAGO COFFEE WORKSがオープンした当初、現在のアメリカンビレッジもまだ発展途上でした。僕らの店舗がテナントとして入ったビルの周辺には、ほとんど建物がなく、週末に少し人が来る程度でした。しかし、今では多くの方々がこのエリアに足を運び、にぎわいが生まれています。
僕たちが提供する一杯のコーヒーが、お客様にとって「アメリカンビレッジに来るきっかけ」になることを目指しています。
─まさにコーヒーを通した街づくりですね。
仲宗根:はい、そう思います。ZHYVAGOが提供するコーヒーや姉妹店のハンバーガーなど、どれもこのエリアに訪れる方々に「飽きのこないコンテンツ」を提供することを意識しています。私たちの店舗がきっかけとなり、アメリカンビレッジ全体が盛り上がり、循環的な流れを作り出す。これが私たちの考える「フォースウェーブコーヒーカルチャー」です。
また、接客を通じて、お客様の次の来店につながるような体験を意識しています。たとえば、「もう一度この街に来たい」「このお店にまた行きたい」と思ってもらえるような接客やサービスを心がけています。
一杯のコーヒーがきっかけで、街全体の印象や価値を変えられる。
それを私たちは使命だと考え、日々取り組んでいます。
─ZHYVAGO COFFEE WORKSとして、街づくりやコミュニティ作りの観点から、今後挑戦したいことやビジョンはありますか?
仲宗根:そうですね、新しいことに挑戦するというよりも、「変わらない美学」を大切にしていきたいというのが私たちの考えです。街の中のコーヒーショップとして、日々の営業をしっかりとこなすことが一番の挑戦だと思っています。
台風の日だろうが、雨の日だろうが、変わらない接客を心がける。僕たちが目指すのは、フェイス・トゥ・フェイスの接客を中心に、最高の一杯をお届けすることです。
ZHYVAGO COFFEE WORKSが提供するコーヒーが、忙しい日常の中でお客様にとっての「一息つける瞬間」になれば、それが私たちの最大の喜びです。日々の生活の中で、リフレッシュしてもらうきっかけを作ることが、コーヒーショップとしての役割だと思っています。
