22-人生が好転し始めた!
【前回のお話】
(869字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
「はい、○○店です」
「あ……あのっ!」
(大丈夫、大丈夫)
自分を落ち着かせながらも、慌てて手元にあるセリフのメモ書きを見る。
「お忙しいところすいません!わたくし、竹子と申しまして、○○バイト誌に掲載されている募集を読んだのですが」
「あ、アルバイトの応募ですね。ありがとうございます。えー、では……」
想像に反して、応募はすんなりと進んだ。
特に何か言われたり聞かれたりすることもなかった。
「取り敢えず履歴書を持って面接にいらして下さい」とのことだったので、日時を決め、後日お店を訪問することにした。
(これでまた一歩前進!)
ほっと胸を撫で下ろしちらっとパソコンに目をやると、なんと早速大学院からも次々とメールの返信が届いていた。
ワクワクしながらメールを開封するも、ほとんどが「申し訳ございません」から始まっていた。
「日本できちんと教育受けたことがないと、そもそも入学試験に受かるのが難しい」
「仮に受かったとしても、今後の学習についていけないだろう」
という趣旨の内容ばかりだった。
(そっか……でもまあそうだよな……)
落胆しつつぼんやりメール箱の返信に目を通していると、拒否メールに混ざって、異質な返信が一通あることに気付いた。
「経歴拝見しました。面白いですね。是非一度お会いしましょう」
飛び上がった。
何度も目を疑った程だ。
慌ててお礼メールを入れ、これからの入学の流れについてやりとりとした。
当大学院の教授(以下、S教授とする)曰く、確かにいきなり入学試験を受けて入学するのはハードルが高いが、十分対策は可能だということ。
そしてその対策とは:院生になる前にまず「研究生」として1年間勉強し、傍ら試験対策を行うこと。
合わせて教授の指導のもと、研究手法や論文の書き方についても訓練をする、ということだ。
願っても無いことだ!
果たしてこんな強運で良いのか。
小躍りして喜んでいると、S教授は更にこう付け加えたーー
「うちの大学院は中国の方の入学希望者も多いですよ。
竹子さんも、入学試験時は是非同じ枠で受けて下さい」
なんと!!!
確実に人生が好転し始めたのを感じた。
(つづく)