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#50 白湯のように透明で、舌触りがクリアな『トキメキ』
(1021字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
ソフトドリンクよりも、白湯が美味しいと感じるようになった。
意識して身体に良いものをーーという訳では無く、単に好みの変化によるもので、
別例として、近頃は刺激が強いバラエティよりも、ただ静かに草花を眺めたり、ゆっくりコーヒーの香りを楽しんだりする方が好きになった。
そのような年頃なのだろうか。
身体や心のペースを乱されるのが嫌になったのが、この変化が起こった一番の原因かもしれない。
食べ物であれ娯楽であれ、人工添加物要素が多めのものは、私が本来持っているペースを掻き乱しやすい。
そんな気がする。
身体のペースが乱れてしまうと疲れやすく体調不良を引き起こし、
心のペースが乱れると目の前のことへの集中力が下がり、
更に精神状態が刺激物によって高揚してしまうと、睡眠の質にも影響が出る。
それが嫌で、いつの間にかそういったモノを無意識に避けるようになったようである。
この原因に気付く迄、一時は自分に対しひどくがっかりしていた時期があった。
『トキメキ』を追い求めなくなった。
「私は何時からこんなつまらない人間になってしまったのだろう」と、
もう一度かつてあったあのワクワクを取り戻したいと、随分焦ったものだ。
ただ、内心はこの焦りに応えてくれなかった。
まるで「いい、今のままでいい」と教えてくれているかのように全く動きが無かった。
どこかの本で読んだのだが、人はその時その時の状態に合った仕方で旅をしないと、かえって何も楽しめなくなるらしい。
10代は10代に合った旅を。
20代は20代に合った旅を。
30代は30代に合った旅を。
悲しい時は、悲しい気持ちに合った旅を。
嬉しい時は、嬉しい気持ちに合った旅を。
寂しい時は、寂しい気持ちに合った旅を。
かつて素晴らしかった旅の路線をたどっても、もうあの頃と同じ体験が出来ないように、
生き方も、今の自分に合ったものでなければ、楽しめない。
『トキメキ』を追い求めなくなった。
つまらない人間になった。
果たしてそうだろうか。
方向性、『トキメキ』の形が変わっただけで、私は今でも面白くワクワクと生きているのではないか。
かつては外へ外へと『トキメキ』を追い求めていたのを、
今は内へ内へと『トキメキ』を追い求めている。
五感で感じたものを、どれだけ細やかに心の中に落とせるか。
日々受け取る情報を、どれほど純粋に、シンプルに選出し、感性を研ぎ澄ませるか。
これが私にとっての、今のうちに楽しむべきワクワク。
白湯のように透明で、舌触りがクリアな『トキメキ』なのだ。
📚静かに、目一杯人生を楽しんでいる
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