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13-職場のトラブルメーカー、嫌われ者の私

【前回のお話】

(948字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)

 「竹子さん、人が話している最中に割り込まないの」

 「竹子さん!竹子さん!ーー何回も呼んだのに、なんで無視するの?」

 「また資料忘れたの?これで何回目?」

 「洗い物がたまっているって何度も言ったんだけど……え?洗えって言われてないから何もしなかった?はぁ……もういいよ」

…………

 思えば、私は知らず知らずのうちに嫌われていた。

 優しくしてくれたIさんもこの頃は声を荒げることが多くなり、最初は良く冗談話をしてくれたHさんも最近は一切目を合わせてくれなくなった。
 社長は特に私を避けたりすることはなかったが、いつもからからと笑っては「竹子さんは本当に困ったもんだね、いやはや」とばかり言っていた。
 他の社員に関しては、用事が無ければ一切会話も無しで、接触自体あまりなかった。


 ーーにしても、私のヘマっぷりは実にひどかった。

 指示されたことをすぐ忘れる。
 作業に夢中になると周りの声が聞こえなくなる、かといって雑音を気にし過ぎて一切集中出来ない時もある。
 グループ会議中は皆が何を言っているのかをほぼ聞き取れない。
 話の「裏」が分からない、表の文言に隠された本当の意図を汲めない。
 衝動性がひどく、状況を見ずに「やってみたい!」と思ったことをその場で行動に出してしまう。

 はっきり言って、会社の「お荷物」でしかなかった。
 激安の給料をもらっていたものの、その分の働きでさえ会社に貢献することが出来なかった。


 もし私が皆と仲も良好で仕事も出来ていたら、酷い腹痛に襲われたあの日、少しは気にかけてもらえたのかもしれない。

 確かに激務続きで、心の余裕がある人なんて誰一人いない。
 けど、私はここの皆はそこまで冷徹では無いことを知っている。

 だから特に辛かった。

 「またあの子が何かやってるよ、でもまぁいつものことか」のように見られてしまったことが寂しかった。

 トラブルを起こし過ぎた為に放っておかれてしまうということは、諦められたのと同じだ。

 私は、完全に孤立してしまった。


 後になって、私は「ASD、ADHD傾向あり」という診断を受けるようになるのだが、この時はもちろん何も知らず。

 ただ、自分は社会人になったばかりだから知識と経験が足りないのだろう、大学時代にちゃんと勉強しなかったから、弱い自分から逃げてきたからツケが回ってきたのだろうとしか思っていなかった。

(つづく)

📚自分を知らないうちは、頑張れば頑張るほど事態を悪化させる


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