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外国で迷子になる心細さ。②
仕事で台湾にいたのだけど、その時にシンガポールに行ったのは台湾の正月休みで仕事にならなかったのと、ビザが切れそうで、一度台湾から出る必要があったからだ。
香港かシンガポールに行けと言われ、何度か行った事もあり、多少土地勘のあるシンガポールを選んだだけだった。
そんな訳なので、特に目的もなくシンガポールに入った。
宿泊先はラッフルズホテル、では無く、その近くの安宿で、
そこは本当の安宿で、ホテルでのんびりという雰囲気ではなかったので、なんとなく、隣の国マレーシアにでも行ってみようと思い立った。
シンガポールは何度か行っていて刺激が無かった、知らない街をブラブラするのが好きだ。
マレーシアへはラッフルズホテル近くのバスターミナルからバスが出ているという、それだけの情報で、全くの無計画でマレーシアのジョホール・バルへ。
ジョホール・バルへ行きたいというより、バスで国境を超えるという経験をしてみたかったぐらいの事だった。
そんな経験も20年もたつと、たいして思い出す事も無い、ただバスを降りて、パスポートにスタンプをもらい、またバスに乗る、だけの事。
そんな、興味も知識もガイドブックもなくジョホール・バルに行ったので大した思い出もない。
街の思い出は駅前のA&Wでルートビアを飲んだことぐらい。
ただ、帰ろうとした時が大変だった、帰りのバス乗り場がわからない、なんだか丘の上のほうにバスターミナルがあって、そこまでは分かったのだけど、バスが無いという、もちろん英語力の問題だ。
言われるままに丘の下に移動するが、乗り場がわからない、もうパニックだ、迷子になったようにウロウロしながらバス乗り場を探す、仮にも外国に行くバスなので、それなりに大きなバス停だろうと思うが、それらしき所など無い。
完全な迷子状態。
どうしょうもなく、又、丘の上のバスターミナルに戻り、チケット売り場でシンガポールへの行き方を真剣に聞く。
判ったようで判らない、また丘の下に戻る…… 又、丘の上のバスターミナルに戻る……
その先は、あまりのパニックのせいか、記憶が曖昧になっている、とにかく最終的には丘の下まで戻った記憶はあるけど、どうやってバス停を見つけてシンガポールまで戻ったのか。
でも、ちゃんと帰って来た。
おそらくこういうトラブルが旅の面白さを増幅させているのだろう、思い出すのはいつだって困ってウロウロしている情景だけで、解決したあとの記憶は消えている。
それがいつだったのかパスポートのスタンプを確認してみたくなって探した、一日で海外を往復することなど、あまりないので、スタンプはすぐに見つかった。
それは26年も前の元旦の出来事だった。