【事業紹介】「難民」と共に環境問題に取り組む理由【ZERO PC】
こんにちは。「ZERO PC」代表の青山です。
この度は大変ありがたいことに、日本経済新聞 およびAFP通信日本語版において、ZERO PCを取り上げていただきました。
ユニコーンかゼブラか 2つのビーアンドビーが示す道: 日本経済新聞 (nikkei.com)
難民の手で再生、環境にも優しいパソコン「ZERO PC」 横浜 写真14枚 国際ニュース:AFPBB News
私たちは、主に企業で使われたパソコンを再生する事業をしています。
多くの方たちにZERO PCの理念に共感をいただき、これまで3,000台を超えるパソコンを再生し販売してまいりました。
金属資源としてのリサイクルを含めると、10,000台以上のパソコンを再生してきました。
私の会社では現在、「難民」という立場にいる仲間が4人います。
「難民」という立場ではありますが、日本人と同じ給与水準、社会保障のもと、正社員として働いています。
その一方、我々は「環境問題」にも取り組んでいます。
様々なことに取り組んでいる会社なので、今回は改めて、
・どのような想いでこの会社を立ち上げたのか
・何を考えて様々な取り組みを行っているのか
を皆様に知ってもらいたく筆を取りました。
予めお伝えしておくと、長いです。。笑
1つ1つの取り組みをなぜ始めたのか。それを書いているとどうしても長くなってしまいます。
ですが、創業からの想いを込めましたので、是非ご一読いただけるととても嬉しく思います。
※本投稿は、オフィシャルブログの内容を加筆・修正したものです。
なぜこの会社を作ったのか〜避難先の日本でも苦しい生活
まず私がこの会社を作ろうと思ったのは、「難民」という立場にいる人たちの存在があったからです。
国連高等難民弁務官事務所によると、2020年末時点で紛争や迫害により故郷を追われた人の数は8,240万人。この日本においても、アフリカや中東での紛争、政情不安などを理由に毎年多くの人たちが避難をしてきています。
日本に来れたことで「命を狙われる」という危機からは逃れられますが、依然不安定で苦しい生活が続きます。
1. 非常に低い認定率
ご存知の方も多いかもしれませんが、日本で難民として認められる割合は、過去10年間の平均で0.3-0.4%です。20%-50%の認定率のある他の先進国と比べても著しく低い数字です。
余談ですが、「島国だからしょうがない」ということは成り立ちません。島国であるオーストラリア、アフリカや中東から見れば遠く離れ海を超えてこなければいけないカナダなどは認定率は非常に高いためです。
2. 不安定な在留資格と経済的な貧しさ
日本での難民認定の手続きにかかる期間は平均3年と言われます。もちろん予め「3年かかります」と言われているわけではなく、待ち続けた結果平均3年なのです。中には5-10年ほど結果を待っている人もいます。
さらに彼らが日本に在留できる資格は、半年ごとに更新を求められるものです。これが1つ彼らの生活の安定を妨げている要因になっています。
認定を待つ数年の間、就労許可を国からもらえる人もいます。ですが、半年間しか有効でない在留資格なので、企業にとっては正社員として雇用するにはリスクが高すぎます。また日本語の話せない人が多いことも相まって、正社員として安定的に働ける人が少ないというのが現状です。
※「難民」として日本に来る人は、「たまたまビザが早くおりた」といった理由で日本に来る人が多くいます。まずは母国での危ない状況から逃げることが先決だからです。そのため、留学生のように日本語を勉強して準備万端で来れる人はほとんどいません(少なくとも私は会ったことがありません)。
だから、私は「ビザが半年ごとの更新」だろうが、「日本語が話せない」であろうが、そんなこと関係なく安心して働ける場所を創ろうと思い、この会社を作りました。
なぜいわゆる「支援」ではなく、働ける場所を作ったのか?
それには大きく二つ理由があります。
1つ目は、緊急の食糧支援や法的な支援は、すでに素晴らしい活動を積み重ねている団体があることです。
難民という立場にいる人たちを取り巻く環境は複雑で「これをすれば問題が全て解決する」というものではありません。そして今の日本の状況、そして海外の状況を見ると、最初の緊急支援もそうですが、「生きて生活を成り立たせていく」という部分にも多くの課題がありました。そこで我々は、「働く場所を作る」というところにフォーカスをしました。
2つ目の理由は、「当事者たちは可能性に溢れている」ということです。
本当にたまたま難民という立場になってしまいましたが、少し前までは私たちと変わらぬ日常生活を送っていた人たちです。何かスキルを持っている人もいれば、皆から愛される人柄の人もいますし、素晴らしいリーダーシップを持っている人もいる。彼らの才能を生かす場所が、特に今の日本では絶対的に足りていないと考えました。
なぜパソコンの再生なのか?
「働ける場所」というと、どんな業種でもあり得ます。
そこで私はまず大きく3つの条件を決めました。
日本語が話せなくても、事業の中核として仕事を担える
母国に帰れるとなった時にも活かせるスキルが身につく
日本の課題に貢献する事業である
特に3つ目は、「難民」という立場にいる仲間を迎えるという観点から重要だと思っています。
難民と聞くと「怖い」といった負のイメージをお持ちの方だったり、そもそも関心を持っていただけない方も多くいます。
「少しでも我々に対してポジティブなイメージを持って欲しい。」
そう考えた時に、
「働いて自分たちだけが良い生活をするのではなく、この日本社会に貢献をする事業を通じてありがとうと言って頂ける存在になろう」
と考えました。
ちょうどその時に「都市鉱山」という言葉を見つけました。
電子機器がこれだけ普及した日本では、捨てられるもの、家や職場に捨てられずに残っているものがたくさんある。それらを集めリサイクルができると鉱山に匹敵するくらいの金属資源になるというものです。
そこで当初はパソコンなど電子機器の回収をして、リサイクルをしようと考えました。
まだ使えるパソコンが捨てられている
当初の想定では動作しないものが99%で、1%くらいはラッキーパンチでしっかり動くものがあるだろうと考えていました。
ところが実際に集め出してみると、3割くらいはまだまだしっかり動くものだったのです。そして状態も悪くない。
そこで、リサイクルではなく、もう一度使えるようにリユースする方が良いのではと考え、特に企業さまからの依頼が多かったパソコンに絞って、パソコンのリユースを事業の柱にしようと決めました。
初めて知ったパソコンが及ぼす環境負荷
リサイクルのことをいろいろと調べていく中で、1つのことがわかりました。
パソコンなど電子機器は「廃棄」が注目されがちですが、実は「製造」、
つまり新品のものを作る時に一番環境や人への負荷がかかっているのです。大きくポイントは3つあります。
1. 温室効果ガスの排出
1台のパソコンを製造するにあたり、約300kg相当のCO2を排出します。これは、プリウスで鹿児島から函館までを往復した時に出るCO2と同程度の量です。
2. 水の使用
1台のパソコンを製造するにあたり、最低でも70,000リットルの水を使うと言われています。湯船にお湯を入れると大体200リットルくらいですので、1年間毎日お風呂に入り続けた時と同じ量の水を1台のパソコンを作る時に消費します。
3. 紛争鉱物の使用
パソコンなど電子機器にはレアメタルと呼ばれる希少鉱物が使われています。アフリカなどで取れることの多い、鉱物ですが、現地では武装勢力やマフィアの資金源になっていたり、鉱山では児童労働の問題も報告されています。
環境問題と難民問題は無関係ではない
さらに、関連のあまりない問題だと思われがちですが、環境問題と難民問題は実は密接に関連をしています。それは気候変動による干魃(かんばつ)や自然災害によって、住むところを追われる人たちが実際にいるからです。いわゆる「環境難民」と呼ばれる人たちです。
さらに、温暖化による水不足などが原因で、生活が困窮し、武装勢力に加わると言ったケースも起きています。
「難民」という立場にいる仲間と会社を作っていく上で、新たな難民を生み出すことに加担をしたくない。
だから「環境問題」そして「難民問題」の解決を我々の使命にしたい。この覚悟を込めて、再生パソコンのブランド「ZERO PC」を作りました。
「エシカルパソコン」という言葉に込めた想い
今SDGsが注目を集めています。本質的には素晴らしい概念であり、取り組みであると思うのですが、企業による単なるPR目的の発信なども目にします。
私はSDGsの本質は「他者を思いやること」だと思っています。
私はたかがか30年ほどしか生きていませんが、その私でも子供の時と比べると、今の時代はどんどん便利な社会になっていると感じます。
ただ、「無」からは何も生まれません。
便利さの裏には、
汗をかいている人がいる
もしかしたら「犠牲」という言葉が当てはまるくらい、過酷な状況に追い込まれている人がいる
限りある資源に目を瞑って、消費し続けている
こういったモノやサービスの裏側が見えにくくなっている今だからこそ、我々消費者としては「その背景にいる人やモノを思いやり、皆が笑顔になるような選択をしていく」ということが重要だと思うのです。
そこで「倫理的な=エシカル」なプロダクトでありたいという考えから、我々のZERO PCをエシカルパソコンと呼んでいます。
最後に
「難民」という立場にいる人たちのためにと立ち上げた会社でございますが、我々自身としては「可哀想な難民を支援してる」という感覚はあまり持っていません。
というのは、彼ら/彼女らは我々と何ら変わりのない人間だからです。母国の状況、日本での状況により少し困難な環境にいるだけです。
だから我々と同じようにそれぞれの能力を発揮できる環境を作っていくことが我々の役割だと思っています。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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