ステーキが救う異世界4
村人たちは集会所に集まり、リクたちに厳しい視線を向けていた。その場に立つリクもまた、緊張の面持ちで彼らの前に立っていた。エリスは彼の隣で冷静な表情を保ち、カイルは手元の資料を確認している。
「俺は、ただ力を振り回したいわけじゃない。このスキルがあるなら、それを誰かの役に立てたいんだ。」
リクの声は震えていたが、その言葉には確かな決意が込められていた。村人の中から一人、老人が立ち上がる。
「だが、あんたの力がこの村を危険に晒す可能性もある。どう証明する?」
その問いに対し、リクは静かに前に進み出た。そして拳を握りしめながらこう続けた。
「証明するよ。この筋肉で、この力で、この村を守ってみせる。まずは……あの森の奥に潜む脅威を倒すことで、俺がこの村の仲間になる資格を示す。」
一瞬の沈黙の後、エリスとカイルがうなずく。エリスは静かに微笑みながら口を開いた。
「リクが言う通り、彼の力が脅威を呼ぶことがあれば、私たちも協力する。それが森の守護者としての私の役目でもあるわ。」
「……それに、森の奥には古い記録によると、かなり危険な存在がいる可能性が高い。リクの力なしでは、僕らだけでは到底解決できない。」
カイルの言葉に村人たちの中で動揺が走る。だが、次第にその空気は静けさを取り戻し、やがて一人の若者が小さく声を上げた。
「……もし本当にあんたが村を守ってくれるなら、俺は信じたい。」
その一言をきっかけに、他の村人たちも少しずつリクに歩み寄り始めた。そして最後に、村長がゆっくりとうなずいた。
「よかろう。ただし、あの森の脅威を取り除くまでは村の外で暮らしてもらう。そこで成果を上げられたなら、この村の一員として迎えよう。」
リクは深々とうなずき、力強い声で答えた。
「必ずやります。約束します。」
こうしてリクたちは、村と森の間に横たわる壁を越え、新たな試練へと足を踏み出すことになる。その先に待ち受けるものが何であるか、彼らはまだ知らなかった。