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Vol.8 ステップ⑦推進力を改善する「胴体落下の最適なタイミング」とは?

「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。

ここでは、このスキルにはじめて触れる初心者ランナーでも習得が可能なように、体系立てていくことを目的とします。

前回までに、胴体をどのように落下させるのか?というスキルについてお話ししてきました。胸鎖関節とPSISの操作スキルですね。

実際、僕自身でもこのスキルによる推進力改善を体感しているんですが、とはいえ、うまくいく時もあれば、なんだかしっくりこない時もあります。

この違いについて観察していると、「ただただ落とせば良いってもんじゃないんだな」ということに気付かされます。

では、うまくいく時とそうでない時とでは、いったいどんな違いがあるんでしょうか?

今日はそのあたりについてお話していきます。

それでははじめましょう。

胸鎖関節とPSISを「等速」ではなく「加速」しながら落下させる

あなたの手のひらに、軟球ボールが乗っているのを想像してみてください。

あなたはそのボールを軽く上に放ります。するとそのボールはあなたの顔の前くらいまで浮き上がり、そこからまた落下しながら、あなたの手のひらに収まります。

今日お伝えしたい「胴体の落下による推進力の高まりがうまくいく時とそうでない時の違い」は、この軟球ボールを放って収める、という一連の流れで全て説明がつきます。

まず、あなたが放った軟球は、あなたの顔の前で、一度「止まったように」みえるはずです。遊園地に「バイキング」という恐怖のアトラクションがありますが、あれでも最も高い位置にきたときって「止まったように」みえますよね?

このタイミングって、もっとも位置エネルギーを蓄えている状態です。これを僕は最近「無重力状態」と表現しています。

この「無重力状態」から落下するわけですが、その落下速度に注目してみると、これって「等速」ではないですよね?

僕も物理が大の苦手なので、「等速」などの専門用語が出てくるとそれだけで「うっ…」となるんですけど、軟球やバイキングなどで想像すると、なんとなく腑に落としていただけるんじゃないかと。

軟球も、顔の位置から落ち始めるタイミングよりも手に収まる直前の方が落下速度が高いし、バイキングも止まってる状態から一番下に落下する直前のタイミングで最も昇天しそうになります。

このように「落下速度」は等速ではなく、加速しているということが、今日の最も重要なポイント。

それを踏まえ、こちらの動画をご覧ください。

この動画では、落下する軟球を手のひらで受けて、それをまた上に放っています。けん玉に似てますね。それではポイントを説明していきます。

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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員