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Vol.9 ステップ⑧適切に胴体を落下させると腰高フォームになる
「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。
ここでは、このスキルにはじめて触れる初心者ランナーでも習得が可能なように、体系立てていくことを目的とします。
さて、ほとんどのトップアスリートをみると、惚れ惚れするようなランニングフォームで気持ちよく走っているようにみえます。ただただ走ってるだけなのに、ずっと見続けていても飽きることがありません(僕だけかな?)。
では、僕たちは彼ら彼女らのランニングフォームのどんなところに惚れ惚れしているのでしょうか?
その一つに「腰高フォームによる滑らかな前進運動」があるんじゃないかと考えています。
でも、もしかしたらあなたは「そんなフォームで走れるのは彼らの持って生まれたセンスがあるからでしょう?」と思われるかもしれません。
もちろん、足の長さなどは今からじゃどうしようもありませんが、この「腰高フォームによる滑らかな前進運動」は、何も足の長さによってもたらされるものではありません。
このような腰高フォームは、前回お話しした「タイミング(間」の取り方」と、今回お話しする胴体落下のスキルによって、ほとんどのランナーが実現可能だと考えています。
今日はそのあたりについてお話していきます。
それでははじめましょう。
滞空時間中に左右のPSISを入れ替える
腰高フォームを身につけるために、まず「なぜ腰が落ちたフォームになるのか?」を理解するところからはじめましょう。
なぜ腰が落ちるのか?それは「着地点が前方偏位するから」です。
ランニングという前進運動の際、身体の真下よりも前側で着地すればするほど、ブレーキ要素が大きくなります。どういうことかというと…
では試しに、歩きながらいつもよりも余計に前方で着地してみましょう。するとほとんどの方は踵から着地するはずです。たまに「つま先から着地してます」という方もいらっしゃいますけど、それはおそらく意図的につま先から着地しているから。
何も考えずに着地点を前方に移動させれば、ほとんどの方は踵から着地します。注目していただきたいのは、踵から着地する時、ほとんどのケースで膝はピンと伸び切ってるということです。
そしてそのあと、膝が伸び切った状態では着地衝撃が膝を直撃するので、軽く膝を曲げて、衝撃吸収を図ります。
このときの「膝屈曲」によって、腰の位置が落ちるわけですね。ですから、腰の位置を高くしようとするのであれば、着地点をできる限り身体の真下に近づける必要があります。
では、どのようにすれば着地点を身体の真下に近づけることができるんでしょうか?そこで重要なのが「滞空時間で左右のPSISを入れ替えるスキル」です。
それでは、今日も動画で説明していきます。
https://youtu.be/ldUlJFCh7XA
まず、左脚で片脚立ちします。その際、左の胸鎖関節とPSISを落下させます。ここではわかりやすくするために、PSISだけにスポットライトをあてます。そのまま2回、その場で片脚ジャンプしましょう。
この最初の2回のジャンプの際、PSISは左が下がって右が上がっている状態です。ここ、ものすごく重要なポイント。
2回ジャンプしたあと、その滞空時間中に、今度は右のPSISを落とします。このときは右のPSISが下がって、左が上がっている状態。
このように、滞空時間中に左右のPSISをシーソーみたいに入れ替えて、PSISを落としながら片脚立ちするわけです。
ここではわかりやすいように2回ずつのジャンプにしてますが、これを1回ずつにしたものが、俗にいう「ランニング動作」になります。いかがでしょうか?いつものランニングフォームと比較すると大きな違いを感じられるんじゃないでしょうか?
その大きな違いというのが…
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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員