Vol.15 LTインターバルを軸にトレーニングする際の注意点
昨年7月、横浜市スポーツ医科学センターにて乳酸測定したときのこと。
この測定では、3分間走って、1分の休憩の間に血液を耳たぶから採取し、これを少しずつペース上げながら7セット実施して、血中の乳酸値が急に上昇するポイント、つまり乳酸性作業閾値(LT)を正確に突き止めるために行う測定です。
この測定、本当にやって良かったと「猛烈」に思いました。そして、LTインターバルを軸にしたトレーニングメニューをやっていく際に注意しなければいけないことも浮き彫りになりました。
そこで今日は、なぜこの測定をやって良かったと「猛烈に」感じたか?ということと、LTインターバルを軸にしたトレーニングの落とし穴についてお話ししていきます。
それでははじめましょう。
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▼LTインターバルで効果を出す条件
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まず、なぜこの測定をやってよかったと「猛烈に」感じたか?というと…
LTインターバルをやる時の自覚的運動強度の擦り合わせができたから、です。
僕はCOROSを使ってますが、この測定をしたタイミングで、COROSのトレーニング管理アプリでは僕のLTペースを3分23秒、そしてLT心拍数が169拍/分と評価していました。
またトレーニング強度の設定に「VDOT」を使ってる方もいらっしゃるかもですが、これで僕の現時点での1500mの走力(4分25秒)をベースにLTペースを弾き出すと「3分35秒」となってます。
しかし、下に僕の測定データ画像を載せてるのでご覧いただきたいんですが、実際にはLTペース(ここでは乳酸値が4mmmolで比較します)は3分53秒、LT心拍数は156拍/分となります。
愕然としました…全然違うじゃないのw
ただ、僕はCOROSやVDOTで弾き出しているペースや心拍数は指標にはせず、自覚的運動強度(RPE)をベースに強度設定してる(みなさんにもそうお伝えしている)ので、ここが違う分には全然気にならないんですけど、とはいえ、自分で考えていたよりもLTペースってかなりゆっくりなんだなーという発見がありました。
ですから、ウォッチやVDOTでLTインターバルの強度を設定するのはやっぱり危険だと改めて感じました。負荷が強くなりすぎるわけですね。
※VDOTに直近のマラソンタイムを当てると、もう少し違うかもしれません
この測定で3分50秒前後で走ってる時の努力感。これがLT強度の努力感だということがわかったことで、さらにLTインターバルに取り組む際の心理的安全性が高まりました。全然キツくない。
これまで僕がLTインターバルで設定していたRPEが「17」だとすると、この測定では「16」つまりマラソン走るくらいのペース感でした。ってことは、まだまだ頑張りすぎていたということですね。
もちろん、この日は「測定」という非日常のイベントだったので、緊張感もあり、努力感あたりの心拍数が通常よりも高かった、ということもあるかもしれませんが、その差分を考慮しても、心理的安全性は高まりましたね。もっと努力感落としていいんだ、って。
これによって僕の「RPE17」という指標がアップデートされました。ここが、僕が今回の乳酸測定やって良かったと「猛烈に」感じたポイントです。
ただ、それと同時に、LTインターバルを軸にしてトレーニングしていく際に、注意しなければならないことも浮き彫りになりました。
それは…
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員