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ステップ⑨「ケンケンパ」で腰高フォームを獲得する
「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。
ここでは、このスキルにはじめて触れる初心者ランナーでも習得が可能なように、体系立てていくことを目的とします。
さて、前回は「適切に胴体を落下させると腰高フォームになる」というお話をしました。
胴体を落下させると腰の位置も落ちるんじゃないか?と思いきや、適切に落下することができればむしろ、腰の位置は高くなります。
このような腰高フォームを身につけることによって、フォームがカッコよくなることはもちろん、走力向上や故障改善につながります。
そこで前回は「滞空時間中に左右のPSISを入れ替える」というお話をしました。まだそちらをご覧いただいてない方は、先にそちらからお読みください。
それで今回は、腰高フォームを獲得するための「ケンケンパ・ドリル」をご紹介します。
それでははじめましょう。
足は地面に置くだけ。そして地面に置いた脚に胴体を載せるだけ
今日ご紹介しているドリルは、ゼロベースランニングクラブ練習会のウォーミングアップでも最近やっている「ケンケンパ・ドリル」です。
早速ですが、こちらの動画をご覧ください。
それでは詳細を説明していきます。
まず、左脚軸足からスタートしてみましょう。
左脚で2回「ケンケン」します。このとき最も重要なのが「左PSISが下がって、右PSISが上がった状態を維持すること」です。
この状態を維持することができれば、荷重時に骨盤が左側方にブレることがありません。
ただ、このときに矢状面上(横からみた面上)で腰が反ってしまうと、骨盤は左側方にブレてしまいます。
ですから、この面上でもPSISを落下させて、骨盤が前傾しないように注意しましょう。
そこから滞空時間中に左右のPSISを入れ替え、右PSISが下がり、左PSISが上がった状態で着地します。
この入れ替えに伴って、右荷重時に右腰が高い位置を維持することができます。これによって「腰高フォーム」が獲得できるわけですね。
ここで一つ、脚のバネを活用するために重要なポイントがあります。それが「パ」のタイミングの取り方です。
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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員