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Vol.43 「ボールペンを曲げる」が走力改善につながる
「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。
今日のタイトルをぱっと見て、ほとんどのランナーは「なにそれ、意味わかんない」だと思います。
「ボールペンを曲げる」というフレーズも胡散臭いし、それが走力改善につながるなんて全く理解不能。
わかります。世の99%のランナーはそういう反応でしょう。
しかし僕から言わせていただくと、今日の内容は走力を改善するための重要なアプローチです。最後まで読んでいただけるとご理解いただけるんじゃないかと。
キーワードは「しなり」。
それでははじめましょう。
どこを「支点」にして動かしてるか?
ボールペンを曲げる。まずこの動画をご覧ください。
もしかしたらあなたも学生時代、つまらない授業中にやってたかもしれませんね。
もちろんこれは物理的に曲げるということではなく、あくまで錯覚なんですが、ここで大事なことは「なぜ曲がって見えるのか?」ということです。
なぜ、ボールペンは曲がって見えるのか?キーワードは「支点」なんです。どういうことかというと…
ボールペンが曲がって見えるとき、支点は「ボールペンの真ん中」にあります。逆にそうでないときは、支点はボールペンの付け根にあったり、手首にあったり。つまりボールペンに支点がありません。
この現象の重要なポイントは、「効果器自体を動かそうとしない」ということです。
ここでいう効果器とはボールペンのこと。わかりやすくいうと「アクションを起こすもの」です。
ボールペン自体を動かそうとすると、ボールペンは曲がって見えません。つまり「しなり」がない。
しかし「結果的にボールペンが動く」というアプローチを取ると、ボールペンはしなります。
ここで大事なのが「結果的に」というプロセス。
ボールペンがしなるには、手首や肘、なんなら胸鎖関節まで動員して、そこから発生した力を「支点」に集約させる必要があります。
さて、もちろん僕たちはボールペンをしならせることを最終目標としているわけではありませんので、この要素を走動作に落とし込んでいきたいわけです。
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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員