Vol.16 高強度トレーニングに潜む罠
前回もお話ししましたが、LTインターバルをトレーニングプログラムの軸に置くのであれば、低中強度のトレーニング量をいかに確保できるか?が、パフォーマンス向上を左右します。
しかし、週に100km以上のトレーニング量を確保するのはなかなか簡単ではありません。ほとんどの方は、仕事や家事などで、この量を確保するのは厳しいでしょう。
とはいえ「目標とするアウトプット」を揃えるためには、そのアウトプットに見合ったトレーニングが必要になります。もしくはトレーニング環境を整えることができなければ「アウトプット」の程度を下げる必要に迫られます。
そこで多くの方は「アウトプット」の程度を下げたくないので「高強度トレーニング」を取り入れます。トレーニングの強度を上げることによって、トレーニング量が足りない分をカバーする、という考えですね。前回もこの件についてはお話しました。もちろんこれはこれで必要かと。
ただ、高強度のトレーニングをやっていく際に、欠けてしまいがちな視点があります。
そこで今回は、この「欠けてしまいがちな視点」についてお話ししていきます。
日々のトレーニングの繋がりが成果に結びつく
他のクラブがどうかはわかりませんが、ゼロベースランニングクラブで提案するトレーニングメニューには、高強度トレーニングの頻度は多くても週に1回。
とはいえ高強度トレーニングによって走力が向上することは確かで、多くのランナーがインターバル走などのメニューで実施しています。
ただ、効果が出やすい分、用法用量を守って正しく実施する、というのが難しかったりします。というのも…
高強度トレーニングは魅力的であるがゆえに、「高強度トレーニングを軸に」日々のトレーニングプログラムを立ててしまうということになりかねない、ということです。
高強度のトレーニングは「やった感」が強く感じられます。その「やった感」が曲者で、「やった感=走力が向上する」となりがち。
つまり「苦しいトレーニングをすれば走力が向上する」という誤解が生じやすいということです。
そうやって短絡的に高強度トレーニングに意識が傾いていく。これが高強度トレーニングの誘惑です。
このような誘惑に駆られると、すっぽりとハマってしまう罠があります。というのも…
まず、高強度のトレーニングをやる際、最後まで走り切れるかどうか?に気を消耗することになります。これは多くの方が体験してらっしゃるんじゃないでしょうか?
こうなると、トレーニングを消化することが目標となりがち。つまりトレーニングを「点」として捉えてしまいがちになります。これがまず一つ目の罠。
また、トレーニングが消化不良に終わることもありますよね。高強度トレーニングの終盤の走りがズタボロになってしまった経験をお持ちの方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
もちろんですが、トレーニングは消化できなければ「点」にすらなりません。これが二つ目の罠。
さらに、三つ目の罠はさらに厄介です。その罠とは…?
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員