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Vol.9 脂質代謝を高め、いかに糖を温存するか?

今月はZBR流マラソントレーニングシステムということでお話してます。

このシステムにおける重要な「How」がLTインターバルやB2Bになるわけですけれども、では、なぜにこのLTインターバルやB2Bという「How」を用いてトレーニングをする必要があるんでしょうか?

というか、LTインターバルとかB2Bじゃなくても、マラソントレーニングには色んなバリエーションがあります。

では、なぜそのトレーニングをする必要があるんでしょうか?なんで、マラソン走るためにトレーニングが必要なの?

今日はこの素朴な質問に向き合ってみたいと思います。それでは始めましょう。

マラソンはエネルギーマネジメントのスポーツ

なんで、マラソン走るために、トレーニングする必要があるのか?

そんな当たり前のこと、改めて考えたこともないんじゃないでしょうか?

こんな質問されたら、僕ならシンプルにこう答えます。それは…

「トレーニングしないと、エネルギーが最後まで保たないから」

マラソンはじめ、長距離走というスポーツのパフォーマンスは、ほぼこの答えで説明できると、僕は考えてます。

長距離走は、エネルギーマネジメントのスポーツです。

サッカーやバスケなどと比べると、スキルや戦術、チームワークなど、パフォーマンスに関わる変数が少ない。至ってシンプルなスポーツですよね。

いかに、エネルギーをマネジメントするか?

長距離走のパフォーマンスを向上させるためには、エネルギーマネジメントが戦略の「幹」となります。

この「幹」から、走り方という「枝」、ファットアダプテーションという「枝」、トレーニングという「枝」、自律神経という「枝」などが伸びてるわけです。

では、エネルギーをどうマネジメントするのか?

一つの大きな「枝」が、「『脂質』を使って『糖』を温存し、エネルギー供給システムを駆動させ続ける」です。

ランニングフォームのスキルアップやファットアダプテーションによる脂質代謝の促進、風船を使った呼吸エクササイズによる自律神経の調整なども同様に、エネルギー供給システムをグレードアップするための戦術。

LTインターバルやB2Bによってトレーニングの頻度や強度をマネジメントするのも、結局のところ「脂質代謝を促進させ、糖代謝を抑える」というエネルギー供給システムをグレードアップさせるための戦術です。

このような取り組みを継続していくことで乳酸性作業閾値が向上すれば、糖の利用量が減ります。

乳酸性作業閾値とは血中の乳酸量が急激に増加するポイントのことを言いますが、乳酸が増えるのは糖を利用しているからです。糖をエネルギー源として利用すれば、その代謝産物として乳酸が生成されます。

ということは、同じ運動強度でも脂質の利用量が増え、糖の利用量が減れば、必然的に乳酸の産生量が減ります。それによって乳酸性作業閾値(LT)は向上します。

これが「持久力が上がった」という状態です。

マラソンというスポーツを「エネルギーマネジメントのスポーツ」と捉えることによって、やるべきことがものすごくクリアになります。

どうすれば糖の利用量を抑え、30km以降まで温存することができるか?

そのためにも、脂質をエネルギーとして使いやすい身体にするには、どうすればいいか?

この視点を持つと、トレーニング計画やファットアダプテーション、ランニングフォームの修正・自律神経の調整などの重要性を、改めて認識していただけるんじゃないかと。

次回は「レース中に糖質補給は必要か?」というテーマについてお話ししていきます。

それではまた🙌

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高岡尚司(プロランニングコーチ)
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員