![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157899917/rectangle_large_type_2_980f4fa02882a1ab2b52fa7689da9e12.png?width=1200)
Vol.4 30km走を「強化」目的でやらない理由
僕はコーチとしてマラソンのトレーニングメニューを作成するときに、30km走をほとんどやりません。
今日はその理由をお話していきます。
それでは始めましょう。
「トレーニングの原理」を踏まえると、その30km走は適切な刺激といえるのか?
30km走。マラソントレーニングの定石と考えてらっしゃる方が多いんじゃないかと思います。
もちろん僕もこれまでに、マラソントレーニングの一環として30km走をやったこともあります。
ただ、「強化」を目的とした30km走は、ほとんどやってません。レース2週間前に1回やるのみ、ですね。
その唯一の30km走も、「強化」が目的ではなく、「評価」とか「確認」という目的で実施します。
これまでのトレーニングが順調かどうかの評価、そして目標タイムが適切かどうかの評価、ですね。
あとはレース当日に使うジェルやBCAAなどの補給の内容やタイミングの確認も兼ねてます。予行練習みたいなイメージです。
そして2週間前に30km走をやったら、そこから少しずつテーパリング(トレーニング量の調整)して、体調を合わせていくわけですね。
僕は30km走をこのように捉えていて、それ以前のウィークエンドでは、基本的にB2B(バックトゥーバック)スタイルで、2日に分けて、マラソンペースよりも速いペースでのトレーニングを実施します。
B2Bに関してはこのあとじっくり説明するとして。
では、30km走はマラソンのトレーニングとして全く効果がないんでしょうか?もちろんそんなことはありません。
「LSD」としてのトレーニング効果はあるはずです。30kmだと、少なく見積もっても2時間〜3時間以上は走ることになるでしょうからね。
ただ、ここで懸念されるのが「トレーニングの原理」にもとづく刺激が不足することです。
トレーニングの成果を出すためには3つの原理があります。一つ目が「可逆性の原理」、二つ目に「特異性の原理」、そして三つ目に「過負荷の原理」です。
「可逆性の原理」とは「トレーニングで身体を適切に刺激しなきゃ、走力落ちますよ」ということ。寝たきりになったら走力落ちますよね?そういうことです。
また「特異性の原理」とは「マラソン走るんだったら、1500mじゃなくてマラソン走るためのトレーニングしなきゃだめよ」ということ。その競技に応じたトレーニング刺激が必要ですよ、ということですね。
そういう意味では、LSDはマラソン特異的なトレーニングとは言えません。これは基礎構築期やLTインターバルの合間に行う汎用的なトレーニングです。
そして「過負荷の原理」は「本番で走る強度以上のトレーニング刺激が必要ですよ」ということ。
特にフルマラソンのトレーニングにおける「30km走」は、この3つの原理の中でも「過負荷の原理」における刺激が今ひとつ足りないんじゃないか?というのが僕の考えです。
30km走といえば…
箱根駅伝に出場する大学生ランナーは、よく30km走を行います。
ペースは大学によりけりですが、僕がトレーナーをやっていた頃の帝京大学では、だいたい3分30秒程度でやってました。今でもだいたいそれくらいのペースで実施してる大学が多いんじゃないかなーと。
このペースって、大学生にとっては乳酸性作業閾値よりも低い強度だと考えられます。だって彼らは本番で、3分ペースで20km近くを走るわけですから。3分30秒ペースってそんなにキツくありません。
これって、3分ペースで20km近くを走る彼らにとって、「過負荷の原理」を踏まえた刺激としては適切なんでしょうか?
これは「運動継続時間」という視点を加えて考えると合点がいきます。
というのも、ペースこそ3分30秒と、彼らが本番で走るペースよりもかなり余裕のあるペースですが、本番よりも長い距離を走ることによって「運動継続時間」が長くなります。これによって「運動強度」を担保してるんじゃないか、と考えるわけです。
と、なんだか急に箱根駅伝に出る選手の話になったので、「そりゃあさ、箱根に出るようなエリートランナーはそうでしょうよ」みたいに感じてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
では、たとえば4時間でマラソンを走りたいと考えるランナーにとって、30km走を5分40秒(サブ4ペース)で走るのは、「過負荷の原理」にもとづく適切な運動強度と言えるんでしょうか?
これ、「ちょっと足りないんじゃないかな」というのが、僕の考えです。
もちろん、これはみなさんそれぞれの体質や走り方など、色んな要素が絡み合うので一概にはいえないという前提はありつつも、レースペースで30km走をやったのに本番では30km以降にペースダウンしちゃった…という方、結構いらっしゃるんです。
そんな方を見るにつけ、「それは運動強度が足りてなかったんですよねー」とお伝えしたり、心の中でつぶやいたりたりしてます。
#ZBRC.やZBRB.のメンバーさんにはちゃんと伝えます
#耳が痛いかもだけど
本当にね、結構いらっしゃるんですよ。「レースペースで30km走はやったのに、30km以降で撃沈した」というランナー。もしかしたらあなたもそうかもしれませんね。僕もそんな経験、あります。
「いやいや、レースペースでの30km走で、うまくいってるぜ!」という方は、それでいいんです。それでうまくいくんですから。
しかし、それでうまくいかないのであれば、おそらく「過負荷の原理」にもとづくトレーニング刺激が足りなかったといえます。
じゃあ、どうする?
箱根駅伝の選手は20kmを走るために、その1.5倍の30kmを走ります。では、フルマラソンを走るために、その1.5倍の60kmを走りますか?
それは流石に難しいですよね?やってやれないこともないかもですけど、その週をまるっと台無しにしてしまいそうです。
そこで。
1日に60kmを走るのは厳しいけど、できる限りそれと同程度の運動強度でトレーニングできないか?しかも、できる限り心身の疲労を極力抑える形で。
そのソリューションが、B2Bだと考えてます。
そこで次回は、このB2Bについてもう少し踏み込んでお話していきますね。
それではまた🙌
★私、高岡 尚司を専属コーチにしてランニングの指導を受けることができる「パーソナルコーチ」のサービスをやっております。
一人ひとりの目標や身体の状態に合わせた、「あなただけの」最適なトレーニングメニューをご提案し、目標達成までフルスイングでサポートするサービス。
フルマラソンでPB出したいという自分自身にチャレンジしたいという方から、ランニングを習慣化して体を壊すことなく健康を維持したい、という健康志向の方まで、高岡が二人三脚で寄り添っていきます。
神奈川県平塚市にあるZEROBASE RUNNING BASE.(ZBRB.)Hiratsukaを活用して行う「ZBRB.会員権付プラン」と、世界中どこからでも受けていただける「オンラインプラン」があります。
興味がある方は下のURLから詳細をチェックしてください。
結構な重心の乗せっぷりでサポートいたしますので、人数を制限させていただいております。ぜひお早めに高岡をこき使ってやってください。
https://zerobaserunning.jp/news/personalcoach
いいなと思ったら応援しよう!
![高岡尚司(プロランニングコーチ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90175266/profile_081285f981f1637f787102ff95d8d75c.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)