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Vol.6 ZBRマラソントレーニングシステムの要点は「苦しまないこと」

今月は「ZBR流マラソントレーニングシステム」ということで、マラソンで自己ベストを狙う方から、ゴールまで楽しく完走したいという方のために、日々のトレーニングをどうやって組み立てていくのか?についてお話しています。

そこで今日は、僕がこのシステムをメンバーの皆さんに提案する理由についてお話ししていきます。

というわけで、早速始めましょう。

キーワードは「段階的」

前回までに、ウィークデイの「LTインターバル」や、ウィークエンドの「B2B(バックトゥーバック)」のお話をしてきました。

前回までの内容を見て、もしかしたら「そんなにトレーニングやらなきゃいけないの?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、みなさんの目標によって必要なトレーニング量は異なってきます。サブ3を目指すなら、それなりのトレーニング量が必要になりますし、サブ4を目指すなら、それなりのトレーニング量が必要になります。当たり前ですけど。

「これをやれば走力がグンと上がる!」という魔法のトレーニングなんて無くて、地道にトレーニングをコツコツと継続していくしかありません。

ただ、ウィークエンドは時間が取れるけど、ウィークデイは1日くらいしか時間が取れないという方も、もちろんいらっしゃるでしょう。

それでも、サブ4したいという目標があれば、目標に見合ったトレーニングなり日常生活での工夫なりを粛々と続けていくのみ、です。それができなさそうであれば、目標を下げる。やっぱ、後半ヘロヘロになるのって嫌じゃないですか。

「どれだけ準備できたか?」を冷静に分析して、目標設定する必要があります。

僕は、僕のランニングコーチとして「トレーニングやレースにおける努力感をいかに小さくできるかを考えること」を信条としています。

つまり「苦しむこと」とか「苦しいのを我慢すること」を前提にしない、ということです。

やっぱり、中長距離走って「苦しい」とか「キツい」スポーツ、と考えてらっしゃる方が多いと思うんです。

たしかにその通りで、「苦しい」とか「キツい」が全くないということはあり得ないスポーツです。

そういうこともあって、多くのランナーにとってのトレーニングやレースには「苦しむべきもの」とか「キツいのは当然」という前提が成立しちゃってると思うんです。

これは多くのコーチ側もそうで、やっぱり走力を高めるためには「苦しいトレーニングを乗り越えなければならない」となりがちです。

もちろん「目指す目標」と「現状の走力」とのギャップが大きければ大きいほど、それなりのトレーニング量で、そのギャップを埋めていく必要があります。

ただ、そのトレーニングは必ずしも「苦しいトレーニング」である必要はない、というのが僕の考えなんです。

いかに「苦しい」「しんどい」と感じることがないように、段階的にトレーニング強度を調整していくか?僕は、ここがZBR流マラソントレーニングシステムの真髄だと考えてます。

例えば、体力がない高齢者を想像してみましょう。最初は15分歩き続けるのもしんどい。

そんな方には、まずは呼吸の仕方からアプローチしたり、歩き方にアプローチしたりして、「なぜ15分歩き続けるのがしんどいのか?」について考え、対策を練るわけです。

そうやってたら15分歩き続けるのが楽になってきた。そしたら次は20分歩き続けましょうか、とか、3分早歩きを苦しくない程度に5セットやってみましょうか、とか、いろんなバリエーションをつけながら、滑らかに体力を高めていくと、あらやだ、いつのまにか30分歩き続けられるようになってきたわ!と。

ここには「もっと頑張って!我慢して!」ということは全くなく、しんどいと感じることなく、いつのまにか体力が上がってるわけです。

ただ、このようなアプローチには、時間がかかります。逆にいうと、短期間で「目指す目標」と「現状の走力」のギャップを埋めようとすると、どうしても「苦しさ」が伴ってしまうわけです。階段を一段飛ばし、する感じですね。

これって、僕の中では「角が立つ」という感覚でして。このような「角が立つ」トレーニングは、やってる側としてはものすごく努力感があるので、「成長してる感」は得られるんですけど、心身ともにダメージが大きい。

なんかそれって、今後もランニングというスポーツを楽しんでいく上で「持続可能性」に乏しいなーって思うわけです。

僕は、マラソンシーズンに入る前からコツコツと低強度のリラックスジョグや中強度のLTインターバルによって、トレーニング量を積み上げていくことを重要視しています。

特にLTインターバルについては、走行中にタイムやペース・心拍数などの数値に気を取られず、自覚的な運動強度をベースに走ることが大事で、これによって無理なく、滑らかに、段階的に持久力を向上させることができます。

B2Bにしても同様で、土日連続でそれなりの運動強度でのトレーニングになるので、日曜日のトレーニングのスタート時は身体がダルいかもしれません。

そんなときも、大事なのは「これくらいのペースでは走りたい」という欲を放棄すること。

身体のコンディションは、その時々によって違います。そこで自覚的運動強度だけをトレーニング強度の指標にすることで、心身ともにゆとりを持つことができます。

そんなゆとりを持って、ウォッチを一切見ないで走ったら、結果的に思ってたのよりもペースが速かった、みたいなことはよくあること。

頑張るのは、確かに大事。メンタルの強さも、確かに大事。苦しいことも、確かにある。

だけど「頑張り」とか「メンタルの強さ」とかは「お守り」くらいに捉えておいて、そのお守りに頼らなくてもいいように、日々、コツコツと準備をしておく。

今、地道に準備をできてる方は、きっとこれからのマラソンシーズンを楽しめるはず。

「苦しむこと」を前提にしない。いかに苦しまずに済むかを考える。これが、ZBR流マラソントレーニングシステムの真髄です。

マラソン、楽しんでいきましょ!

それではまた🙌

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高岡尚司(プロランニングコーチ)
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員