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傷つきやすい人ほど相手を攻撃する

あなたの周りに、いつもイライラしてたり、他人に対して攻撃的な人はいるでしょうか?

実はそういう人ほど、他者からの指摘に弱いことが多いのです。

感情的に言い返したり、問題をすり替えたり、過剰に冷静になって論理的に反論したり、さまざまな反応を示します。

これらはすべて、"防衛機制"です。防衛機制は、オーストリアの心理学者ジークムント・フロイトが提唱し、娘のアンナ・フロイトが発展させた考え方で下記のような意味になります。

受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズム

Wikipedia

簡単に言い換えると、

もうこれ以上傷つきたくないという思いから、自分を守ろうと無意識にする言動ということになります。

この防衛機制の考え方を知ると、日々のコミュニケーションがとても楽になるので、今回はそんな防衛機制についてあるケースを紹介したいと思います。

※下記に出てくるお話は、個人情報やプライバシーの観点から、事実を改変しています。

自分のやり方を全否定された…

あるメンタル休職したケアマネジャーAさんの話です。原因は『同僚に自分の仕事のやり方を否定された』ことでした。

Aさんの主張は以下のようでした。

自分は一生懸命やっているのに、同僚は自分の意見を全然聞いてくれない。下に見られている。同僚には言いたいことが山のようにあるが、何も言っていない。いちいちイライラしていてはキリがないので、怒らず我慢して、精一杯気をつかっている。それなのに…(まさか自分のやっていることを否定されるなんて思わなかった)

Aさん

このように発言されていました。

同僚の方からどのように指摘されたのか尋ねてみると、

「そのやり方はしないでください。こっちのやり方じゃないと困るんです」
とやや強めの口調で言われたそうです。

もちろん同僚の言い方が強いのも原因の一つではありますが、たったこの一言で、自尊心を傷つけられ、それに耐えきれずメンタル休職をしてしまいました。

休職して3ヶ月ほど経ち少し回復してきた今でも、いざ職場に足を踏みいれようとするとドキドキと動悸が止まらなくなるほどでした。

Aさんの仕事に対する思いを聞いていると、「一生懸命やっている」という言葉は本当でした。真剣に利用者さん(会社でいう顧客)のことを考えているし、仕事に対してもミスをして他の人に迷惑をかけないようにと、必死な様子が窺えました。

そんな仕事熱心に見えるAさんですが、周りの人の反応は予想と反していました。

Aさんが休んだ後の周りの反応は?

同僚の方たちにAさんの休職について聞いてみたところ、驚くべきことに多くの人が「ほっとした」と感じていたそうです。Aさんがいないことで職場の空気が軽くなったというのです。

Aさんは自分の仕事に一生懸命でしたが、その一生懸命さが周囲にはプレッシャーとなり、コミュニケーションが取りづらくなっていたのかもしれません。

例えば、Aさんは常に「自分は正しい」と思い込んでいるような言動をしていました。自分のやり方に自信があり、それを他人に押し付けることが多かったのです。

このため、同僚たちはAさんに何かを指摘したり提案することができず、ストレスを感じていました。その結果、Aさんがいないことで職場の雰囲気が改善され、同僚たちが自由に意見を言えるようになったのです。

傷つくのが怖いと他人を攻撃することがある

このように、自分が正しいと思い込んで他人を攻撃する人は、実は自分自身が傷つくのを恐れている場合が多いのです。自分のやり方や意見を否定されることに対して過敏になり、それが攻撃的な態度として表れてしまいます。
これも防衛機制の1つです。

そして、その攻撃が周囲の人々にとってはプレッシャーやストレスとなり、結果的に職場の雰囲気を悪化させる原因となります。

大切なのが心理的安全性

心理的安全性が欠如していると、こうした悪循環が生まれやすくなります。心理的安全性とは、他人の意見を尊重し、気兼ねなく意見を述べ合える環境のことです。Aさんの職場では、Aさんの一方的な態度がその環境を阻害していたのです。

それに限界が来た同僚の不満が爆発して、強めの口調で指摘してしまったようです。そう考えると、この同僚の反応も防衛機制だと考えられます。

このようなケースは案外多いです。まとめると以下の2点。

・他人に攻撃的な人ほど案外傷つきやすい
・自分は被害者だと思っていたが実は加害者でもあった

人を攻撃するのは自分の考えや価値観を守りたいからです。少しでも否定的な意見や反対意見を耳にすると、無意識のうちに「傷つけられるかもしれない」という恐怖のあまり、相手を攻撃してしまうことがあります。

傷つけられそうになったが故の防衛機制なので、当の本人からしたら相手を攻撃している意図はないことが多いです。むしろ、自分は相手から傷つけられたと感じていることさえあります。

反射的に怒鳴ったり、相手を傷つけるような発言をする人ほど、意外と傷つきやすい

と思って観察してみてください。

私は、怒っている人や攻撃的な人をみると、「ああ、この人は何か不安なんだろうな。何がそんなに怖いのかな」と思うようにしています。そうすると、いままで不快に感じていたその状況も、少し楽に思えるようになりました。

ぜひみなさんもこの防衛機制という視点で、人を観察してみて下さいね。


最後まで読んで頂きありがとうございます。
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産業医|平井
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