足立篤史個展「はじまりとおわり、そしてはじまり。」
アーティスト足立篤史さんの個展「はじまりとおわり、そしてはじまり。」 が始まりました。
この個展の目玉は、真珠湾攻撃で日本が撃沈した戦艦アリゾナと、原爆を投下したB-29。まさに「はじまり」と「おわり」。
足立さんは、戦争などのできごとをリサーチし、当時の新聞紙を文字通り「素材」にして、超絶技巧で精密模型にする作家です。作品世界は奥深いけど、敷居は高くない。誰でも気軽に見て楽しめるはず。おすすめです。
戦争・軍事・兵器を扱うからといって、単純な軍事マニア・ミリオタやネトウヨでもなければ、単純な反戦平和主義でもない。そもそも、好きでもなければ、これほど執拗に精密な作品を作るという労働を好き好んで選ぶはずもありません。
兵器という道具には「人を殺す」「敵を破壊する」という明確な目的がある。そこから目を背けてはいけませんが、そこにある(一部の人にとっては)抗いがたい魅力や機能美といったものもまた認めざるをえません。その二律背反を最も先鋭的に体現したのが、戦後サブカルの頂点を極めた宮崎駿でしょう。『風立ちぬ』は、そういう映画です。
しばしば指摘されるように、日本のサブカルには、敗戦のトラウマが刻印されています。戦勝国に比べれば、はるかに戦争や兵器を肯定しずらい(米国では「正義の戦争」「正しい原爆」という意見も少なくない)。真摯なアーティストは、そのような民族的無意識を作品に昇華させます。言語で明瞭に表現できない(表現すると炎上する)ようなことも、アートという手段ならば表現でき、鑑賞者とともに考えを深める機会とすることができる。足立篤史さんが作っているのは、そのような作品だと思います。
できれば銀座Gallery Qで開催中の李晶玉展「BLUEPRINT」とあわせて鑑賞してください。
戦艦アリゾナ豆知識
アリゾナ撃沈で、千名以上の米国人が犠牲になりました。米国が最終的に広島・長崎への原爆投下という非人道的な暴挙にまで至った背景には、「ジャップの卑怯な奇襲攻撃」への報復感情があったとされます。いわゆる「リメンバー・パール・ハーバー」。その象徴が戦艦アリゾナです。
アリゾナは、日本にとっては開戦(および真珠湾攻撃の戦果)の象徴に過ぎませんが、米国にとっては屈辱と報復のモニュメントでもありました。
なお、アリゾナが沈没した場所は、現在は慰霊施設(アリゾナ記念館)になっています。
真珠湾攻撃の生存者の証言
個展情報
足立篤史個展「はじまりとおわり、そしてはじまり。」
会期:6月24日(土)~7月9日(日) (月、火 定休日) 平日13 ~ 23時 土12 ~ 22時 日祝12 ~ 20 時(※実際の回廊時間は作家公式SNSで確認を)
会場:銀座FBIギャラリー
住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座6-3-16
泰明ビル本館501 (※エレベーターなし)
[このテキストの執筆にはChatGPTを利用していません]