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【幸せの価値とは❓】「羊の皮をかぶった狼」ならぬ おじさんの話

<おじさんDX Vol 92>


 とある店舗に買物に行った時のお話です。
※3000文字以上あります。

✅偶然の再会

週末ともあって店内は、お客様で混雑しています。店内を物色していると、後ろから声を掛けられました。

それは、知人のYSさん。


YSさんは、とある業界で働いています。新型コロナウィルスの影響で、YSさんの業界も厳しい環境になっています。

私:『かなりお久しぶりですね♪』
私:『と言うか..。いつこちらにいらっしゃったのですか?』

🌈 YSさんは、にやにやしながら『働いているよ♪』

YSさん:『この店でね』
あともう少しで勤務時間が終わるから、そこのス〇バで待ってて

そう私に告げると戻っていきました。

私は、その返答にかなり驚きました。

実はYSさん、某会社の重役でここに居る筈がない人です。

それもお店で働いている?とは、どういう事でしょう。

見れば、店舗の制服を着ていた。その時、下世話な私が思い浮かべたのは、YSさんの業界は、新型コロナウィルスで大変な時期。

まさか出向?リストラ?と頭の中で浮かんできたのです。

✅新型コロナウィルスの影響


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<出典:日本政府観光局(JNTO)>

訪日外国人旅行者数
令和2年(2020年) 412万人
(出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)
出国日本人数
令和2年(2020年) 317万人
(出典:日本政府観光局(JNTO))

2020年の訪日外国人数と出国日本人数の合計が、729万人です。数字を見ると多い印象ですが、2019年は合計5196万人です。

比較すると2020年は、前年から4467万人減少しています。(前年比14.0%)

YSさんは、私からすると人生の大先輩であり、雲の上の存在のような人です。そのYSさんが、退職をするなんて思いもしなかったのです。


🍀YSさんと待ち合わせ場所で合流します。

✅『退職は、自分から希望したんだ』
✅『勿論、私は、働けなくなるまで会社で働こうと思っていたよ』
✅『でもそれは、違うと気付いた』

YSさんが、退職したのは、新型コロナウィルスの影響が、出る前の話です。業績も右肩上がりの最中で早期退職も無縁と思われる人が、どうして会社を辞めてしまったのでしょう。


そんな私の様子を察したのか、YSさんはこう語り出しました。


✅妻の病気

きっかけは、YSさんの奥様でした。奥様は、YSさんと連添って30年以上の仲。成人前に結婚した二人は、当時この地域に住んでいたのです。

そして退職した後、この地に戻って来たとの事でした。

YSさんが、退職した理由の前に、海外赴任が多かったYSさんは、3年前に日本へ帰国します。赴任した国も良かったが、年齢を重ねたせいか久しぶりの我が家はとても懐かしく、居心地が最高だったとの事でした。


何よりも、やっと奥様と一緒に住める事が、嬉しかったそうです。

その奥様の様子が、なにか違和感がある。

いつものように明るい奥様だけど、随分痩せたように見えたのです。

YSさん:
妻は、病気で当時1年前くらいから通院していた。
妻は、海外で仕事をしている私に心配を掛けまいと、内緒にしていた。
息子達も独立して、妻は、この広い家で1人で生活し、誰にも知られないよう病院へ通っていた。それを考えるだけでも、涙が出た。

頻繁にインターネット電話したり、年に一度くらいは、帰ってきていたが、仕事に集中するあまり...家内の変化に気付いてあげられなかった。

その頃の奥様のご病気は、かなり深刻な状況だったようです。

幸いにも治療が、効を奏し奥様は退院しますが、術後の体調が宜しくなく、YSさんは、奥様が気になって仕方ありません。

✅惜しまれつつ退職

YSさん:
会社を辞めるなんて夢にも思わなかった。
だけど妻と仕事のどちらが大切なのかは、迷いが無かった。
私にとって幸せとは、妻との時間だ。

ありがたい事に会社は、私の想いを聞いて、勤務体系を調整してくれたり、社長自ら何度も引き留めてくれたりした。妻の体調が、良くなるまで仕事を休むことも提案され、時間の更に融通の利く子会社への出向も提案された。

退職しないで欲しいと何度も頭を下げられた。
社長、部下達もそうだった。

🌈YSさん:「あの時ほど、この会社で働いて良かったと思ったよ」

YSさん:それでも、妻との時間を1分でも無駄にしたくなかった。 

 こうしてYSさんは、惜しまれながら、退職する事になったのです。

✅幸せの価値

退職後YSさんは、家を売却しこの地へやって来ます。

奥様の体調も少しずつですが、快方に向かっていたそうです。


そして二人の選択は、若い頃に過ごした想い出と共に始まります。

YSさん:
結婚したのが、早かったのもあって、新婚当時は貧乏だった。
貧乏でも楽しかったんだよ。
お金の無い時は、2人で1玉の「うどんにモヤシ1袋」入れてかさ増しして、食べていたりした。それでも笑顔が絶えなかった。

そして、いつも2人一緒だった。

妻も「あの古いアパート時代が一番楽しかった」って言ってたから
探してみたら、あったんだよ。

不動産屋は、凄く怪しんでいたけどね。
家賃2万7千円(当時1万8千円)のアパートにSクラスだからなのかな?
そのアパートの駐車場が、車のサイズに全く足りなくて、急遽車を買い替えたりと大変だった。

下世話な私は、さぞ退職金が支給されたのだろうと思っていました。
そこで、どうして働いているのか聞いてみました。


YSさん:たしかに退職金は、予想以上に支給されて有り難かった。

だけど、浪費家でしょ?
家に車に時計にゴルフにと 趣味やコレクションが多かった。
貧乏時代の反動で稼いだ給与は、全てつぎ込んでいたようなものだから、生活費、子供の教育費以外は、投資を除けば、それほど貯金をしていなかった。




🍀幸せは、お金じゃないよ!と YSさんは言う。

ここで働いているのは、お金の為ではなくて、家にばかりいたら、「運動不足になって病気になったら困る」と妻が言うから働き始めた。

就職を斡旋してくれたのは、前の会社の社長だそうです。どうやら、その社長は、YSさんの事をずっと気にかけていた様子です。

YSさん:実際、就活してみれば、なかなか就職出来なくて苦戦していたのは事実。どうやら私の過去の肩書が、邪魔をしていたみたい。
私の心の声:(わかるわかる。YSさんのような人が面接に急に来ても...)

ここの会社の社長は、前の会社の社長と仲が良くて、紹介して頂いた。

驚いたのが、最初に用意されたポストが、いきなり副社長だからね...
丁重にお断りさせてもらった。

副社長ともなれば、それこそ以前と変わらなくなる。
仕事は、どんな立場でもきちんとこなすのが、私の性分。
それじゃ、愛していた会社を辞めた意味が無くなる。

だから、社長には、過去の肩書を周囲に隠すこと。
雇用形態は、アルバイト。週に3回~5回のシフト制。
時給は、規定通りで特別扱いなし。
それでは、こちらが困ると言われたが、無理を聞いて頂いた。

YSさん:「それに今も、前の会社の社長から頻繁に何かあれば、戻ってこいとメールが来るし、こちらの地域の支社長(元部下)からも相談が来る」


🍀人の縁とは、どこでどう繋がっているか分からない

以前はPCが、ビジネスアイテムだったけど、今は、この手袋だからね!
毎日バイトの先輩や社員さんに絞られているけど、楽しくて仕方がない。
たしかに、収入こそ以前の10分の1以下になったけど。

🌈妻と一緒に居られる幸せは、以前の100倍以上! 

終始YSさんは、幸せな笑顔で語るのでした。

余談ですが、このYSさんの店舗の店長は、まさかこのような人が、入社しているとは、知らないでしょう😉



これぞリアル羊の皮を被った狼ならぬ「おじさん」です。


そう思う、おじさんでした。


🍀駄文を読んで頂き誠にありがとうございます。 ✅1.ガリガリ君の購入資金に充てます。 ✅2.ボンコツな愛車の維持費の足しにします。 ✅3.神社のお賽銭か盲導犬に募金します。