鬼滅の刃の欠陥を進撃の巨人の35秒間で理解する。

以前鬼滅の刃の記事を書いた。
叩かれるかなーって思いながら書いたけどそんなことはなかった。
(https://note.com/zero50/n/nfd4c3f7ad377)

まあ、漫画もアニメも
文字やセリフで逐一説明せずに
画面で説明、説得させるのが表現媒体として意味が生まれるという簡単な話だ。

じゃあ叩くは良いけど、対案というか、どうしたら良いんだよ?

ってなわけで良い方の例を挙げて見ることにする。
鬼滅の刃のように人気のある進撃の巨人の35秒間の戦闘シーンだ。

(https://youtu.be/UFf67XBG7GI)
こちらより拝借。
6:30~7:05までの35秒の巨人の戦闘シーンで、巨人の出来ることの範囲を説明した上で、テンポ良く迫力を保ったまま表現する事に成功している。

そもそも女型の巨人が出てきて、硬質化能力という身体の一部を硬くする能力があるのがまずわかる。
うなじへの攻撃は出来ないし、中の人は戦闘技術は高いわ硬質化は使うわ、で
主人公はわりと不利じゃね?ってなってから2度目の真っ向勝負。

正面からぶん殴るわけですが、
ここで
“女型の巨人は身体をある程度の部分しか硬質化できない”
“硬質化もフレキシブルではない”
というのをどのキャラが説明しなくても理解できるように描かれている。

まずこちら、主人公が殴りかかるのを硬質化した肘で受ける。

戦闘技術も高いし硬質化で受けたら主人公のパンチは効きはしないのが解る。
どうやって倒すんよ?勝ち目ある…?
っていうシーンを言葉なく描ける。

主人公は足掴んでぶん投げるくらいしかできないけど、決定打にはならないというのが町の壊れやすさで解る。

でも殴る主人公。御構い無しの無鉄砲感。素人感。

それを今度は膝下の硬質化で、ちゃんとローキックで切る。

ここでも女型の巨人の戦闘技術と硬質化を組み合わせたローキックは脚をぶっちぎるくらい強いのが解る。

このテンポの良さと数秒でこれだけの戦力差が解る。
しかしこの次、

しっかり顔をガードしているのに、しっかりぶん殴られる。
効いた!って読者は思うと同時に、
何故ガードは間に合ったのにそんな効いてる感じで殴れた?って疑問にすぐ画面が答える。

脚の硬質化解けてない!
だから顔をベッコリぶん殴られた!

この35秒で、巨人の特性が諸々説明できるので、主人公はわりと根性で押し切るのだけれど、フィクションの中での理屈を説明し切るのに言葉なく、説明口調もなく、画面で説得する。

アニメは実際ガンガン動くので、迫力を損なってもいけない難しさがあるのだと思う。
素人の僕が想像するよりも。

原作の画力が圧倒的に高いとは言えない進撃の巨人。
アニメは謎多きこの作品の細かいところをこういう風にしっかりカバーしているシーンが多々見受けられる。

素晴らしいと思いながらあまり嗜まない僕も、このアニメーション作品のこういうところが楽しめた気がします。

余談その1。
原作を読んでいて、フィクションの中にリアルさを描こうとしていて、きっとそれに成功していて緊迫感が出ている中で、
えー、主人公巨人になっちゃうのー?立体機動とか作戦の工夫で巨人を駆逐しようよー、みたいな萎え方を勝手にしたのですが、
そういう嘘くさいというか突然の不可思議現象が起こる時や、人の生き死にや、登場人物の心情を描くにあたって、漫画やアニメで花を多用するんですよね。
そうしてフィクションという心地良い嘘に自然に読む側を誘うのでしょう。

黒澤明の映画では良く雨や風、炎なんかが良く役者の顔の背後で動きまくりますよね。
あんな感じの魅せ方に少し似ている気がしました。
あれをやると役者も音楽も、過剰演出しなくて済む。
白黒映画において雨の力が足りなくて墨をぶちまけたのは有名な話ですよね。
サブリミナル的に精神のピンとが雨風炎によって表現されているのはそういうこだわりが故であり、
映画の力をふんだんに使いきる事に終始したからでしょう。
ともすると小津安二郎も語りたくなるのでこの辺で…、

余談その2。
エヴァンゲリオンの作者とかってウルトラマンとかそのあたりの特撮オタらしいですね。

デカイものが倒れる時はゆっくり倒すとか、
自重の重さは人間サイズのり全身に響くとか、
そういうのひとつひとつを細やかに描いているように見えます。
エヴァ…あんなに細身なのに、ちゃんとデカくて重たいのが伝わるよね。

なんとなくだけど、製作者側に同じような特撮世代の人が居ると、
こういう進撃の巨人みたいなアニメは良質になるのかなあ?

なんて思ったりしました。

いつも通りの乱文駄文ですが、ゆるしてねん。

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