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映画感想『スリー・ビルボード』
原題「THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI」
◆あらすじ◆
アメリカの田舎町で起きた殺人事件。被害者の母親は遅々として進まない捜査に業を煮やし、地元警察を批判する看板を立てる。警察や近隣住民から非難されながらも彼女が強硬姿勢を続ける中、事態は予想外の展開を迎える。
緻密で圧倒的な脚本力に脱帽。
ブラックユーモアたっぷりの台詞の言い回しも含めその世界を損なう事なく表現した字幕にも拍手だ。
原題を踏まえて言えば
全ての物事は表面だけでは無いと言う事。
ミズーリ州は米国内でも差別や偏見の巣窟だとされる州でその偏見に対して主人公3人を仕立て人間の表裏を順繰りに描く演出も秀逸。
主役は「ファーゴ」が大好きだったフランシス・マクドーマンド。
娘が暴行されて焼死体で見つかったけど一向に捜査が進まない事に業を煮やし大きな看板で警察署長に訴えると言う手段に出る。
勿論よく思わない人たちも居るわけでね。でも彼女は物凄い迫力でイチャモン付けて来る奴等を″独自の言葉″でぶった切る。
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ウディ・ハレルソンがその署長。
でも人格者で人気者。
彼が中盤のストーリー展開のキーマン。
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特に個人的にはサム・ロックウェル演じるディクソンの複雑な人間性に惹かれた。
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彼は恐らくクローゼットゲイ(あんな土地で言えるわけない)で学も無く自分も差別される側と言うのを認めたくない知られたくないが為に黒人差別や暴力と言う蛮行に出てしまう。こういった行動は南部では良く見られるんだろうな。
でも彼がイヤホンで絶えず聴いてるのは友人を想う気持ちを歌った″ABBA″の「チキチータ」。
この曲の内容が解ると彼の人格の複雑さがより明確になる。
だけど惜しい事に字幕が無いんだよね~~残念。
同監督の「セブン・サイコパス」もかなり面白かったが今作は遥かに超えた作品になってるな。
冒頭の朽ちた看板に残る【Chance! of your life】にも意味があるのか?
早くもちょっと凄いの観ちゃった感が否めないけど・・・イイんでしょうか?
とにかくサム・ロックウェルよ永遠なれ!!
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